季都大会ベスト16
コロナ制限下で目指す甲子園
日野が春季都大会でベスト16となった。緊急事態宣言の影響で練習が大幅に制限された中でも選手たちはあきらめない。都立の星は、コロナ禍でも甲子園を目指す。
■都立の意地をみせる
今冬の緊急事態宣言中、都立では練習ができなかった。日野の練習が再開したのは春季大会2週間前の3月下旬。それでも選手たちは、言い訳はしなかった。春予選が中止となり、秋季大会出場チームのみが、春季都大会本戦へ臨んだ。都立で都大会に出場できたのは参加64チーム中15チームのみ。2013年の西東京大会で準優勝となった実績を持つ嶋田雅之監督は「都立の出場校が少ない中、都立の意地をみせなければいけない」と大会へ向かった。オフ明けで練習試合もままならない中でぶっつけ本番に近かったが、選手たちは1戦ごとにたくましくなっていった。エース木下孔晴(3年)を軸としたチームは1回戦で立正大立正に3対0で勝利。2回戦の東亜学園戦は初回に3失点して劣勢の展開となったがゲーム中盤までに追いつくと、最後は延長10回タイブレークでサヨナラ勝ち。3回戦へ駒を進めた。
■3回戦で明大中野八王子に敗戦
8強入りをかけた3回戦の相手は、明大中野八王子。国士舘、日大二を下して勝ち上がってきた明大中野八王子に対して、日野は一歩も引かない戦いをみせていく。日野は、序盤から着々と加点とすると5回までに4対0とリードを広げたが、6回にミス絡みでピンチを招くと連打を浴びて一挙5点を失った。それでも必死に食らいついていったが、結果的には4対6で敗れた。エース木下は「5回のグラウンド整備が終わってゲーム再開の6回にリズムを失ってしまった。ゲームの流れを読んで、抑えるべきところを抑えなければいけなかった」と振り返る。嶋田監督は「明八戦はリードしていながらも自分たちから崩れてしまった。ただ、都立の意地は見せられたと思っている」と選手たちを称えた。
■目を見張る成長
今年は、攻守の要・樋口恵斗主将(3年=遊撃手)を軸にしたチーム。エース木下と長町真生(3年=捕手)のバッテリー、さらに2年生主砲・廣岡太平(中堅手)らが力を伸ばしたことによって進化を遂げた。指揮官によると、チームにまとまりがあり、大きな可能性を感じているという。嶋田監督は「去年の秋と比較して、こんなに変化した代はないかもしれない。コロナ禍で練習が制限されても、選手たちは成長していくことを教えてくれている」と話す。樋口主将は「どんな状況でも自分たちがやるべきことは同じ。今年の夏は私立を倒して甲子園へ行く」と夏を見据える。選手たちは練習時間のハンデを、人間的な成長でカバーして最後の夏へ向かっていく。
都立の星のもとに集まった選手たちは、「不可能」を「可能」に変えていく。