【春季高校野球静岡県大会レポート  掛川西  】

「名門復活の狼煙」
準決勝で静岡を撃破し実力誇示  沢山&榊原のダブルエースが掛西を牽引

掛川西が春季高校野球静岡県大会で準優勝となった。この夏は沢山優介、榊原遼太郎のダブルエースを軸に名門復活を狙う。(取材・栗山司)

■昨秋の悔しさを原点に

今年の掛川西は2人の好投手に注目が集まる。左腕の沢山優介(3年)は身長185センチの長身から最速144キロを投げ込むプロ注目の逸材。一方、右腕の榊原遼太郎(3年)も140キロを超えるストレートに変化球を絡ませ、完成度が高い本格派だ。  両輪を擁し、昨秋の県大会は優勝候補に挙げられていた。しかし、初戦で藤枝明誠に敗れる。初回の3失点が最後まで響いた。榑林奨主将(3年=外野手)はこう振り返る。「秋は初回の入り方にスキがあって悔しい思いをしました。そこから常に気を引き締めて、どんなことがあっても油断しないチームを作ってきました」

冬の期間は基本的なトレーニングに加え、スキをなくすためにチーム内の徹底事項の確認を重ねた。  その上でベスト8に入ってシード権獲得を目標に定めた今春。西部大会を1位で通過すると、県初戦で伊東商を下してベスト8進出を決めた。

■名門対決を制す

ハイライトは静岡との名門対決となった準決勝。約2500人の高校野球ファンで草薙球場のスタンドが埋まる中、掛川西ナインが躍動する。  先発の榊原が自己最速の144キロをマークし、5回まで無安打投球。打線は4回に一死満塁から7番・今駒翔太(2年=外野手)のサードゴロが相手の失策を誘って先制する。  榊原は6回2死から失策をきっかけに走者をため、3ラン本塁打を浴びるなど4失点。それでも、その裏に5四球に相手の失策も重なり、4点を奪い返して逆転に成功した。その後は2番手の沢山が圧巻の投球を披露。静岡を5対4で下し、12大会ぶりの決勝進出を決めた。

「大会を通してチームとして戦うことができた」と榑林主将。一塁への駆け抜け、カバーリング、準備の声など、基本を徹底した野球がナインに染みついてきた。

■名門復活へ

「この春は毎試合、課題をもらいながら勝ち上がることができた」

そう語るのが2018年から指揮をとるOBの大石卓哉監督。自身は1998年夏に主将として甲子園の土を踏んでいる。 前任地の静岡では部長、副部長を務め、5度の甲子園出場を経験。勝ち抜く厳しさを知っているだけに、「基本的なことをもう一度見直していきたい」と気を引き締める。「まだまだ掛川西の選手たちは経験がない。東海大会で、また新たな刺激をもらって、夏に臨みたい」  県決勝戦では沢山、榊原の2枚看板を使わずに、今大会初登板となった3投手の継投で藤枝明誠打線を3点に抑えた。試合は2対3で敗れたものの、確実に投手力はアップしている。

夏に残された課題は打撃力。夏への試金石となる東海大会で実力を高め、名門復活の狼煙を上げる。

 

 

 

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