【磐田東】「不屈」 #磐田東

Best4
磐田東「飛躍」

「目標を持っていい顔でプレーしてくれた」山本幸司監督
「水野が投げられなくて自分がやるしかないと思った」冨田優吾

第1シード撃破でベスト4入り 聖地への夢後輩に託す

春にベスト8入りした磐田東。準々決勝では第1シード・藤枝明誠から勝利を奪い、10年ぶりのベスト4進出を果たした。(取材・栗山司)

背番号11のエース

この夏、磐田東は決して万全な状態ではなかった。  今年2月、最速144キロ右腕の水野琉唯(3年)が右ヒジを疲労骨折。水野に代わって春にエースナンバーを背負った冨田優吾(3年)も5月下旬に右膝の靭帯を痛めた。

水野の状態が上がらない中、冨田は「自分がやるしかないと思った」と7月に入ってから急ピッチで調整。「勝ち上がって水野をマウンドに立たせたい」と仲間を思いやり、背番号11ながら実質エースとして初戦から腕を振った。

冨田の好投で浜松学院、島田を退けると、4回戦は2年生右腕の池端勇輝が日大三島を完封した。

第1シードを撃破!

ハイライトは準々決勝。相手は昨秋、今春の2冠を達成した第1シードの藤枝明誠だった。「明誠を倒せるのは俺たちだ」。試合前のミーティングで山本幸司監督がナインを鼓舞すると、選手が躍動した。1点を追う3回に1番・水野、2番・石川優吾(2年=外野手)、3番・植田弘敏(3年=内野手)の3連打で逆転に成功する。5回に1点、7回にも2点を追加。左投手に自信を持っていた打線は好投手・小林輝から11安打を放ち、計5得点を奪った。投げては冨田が緩急自在の投球で相手を翻弄。9回は最後のバッターを打ち取ると、右手で力強くガッツポーズを作り、喜びを噛みしめた。

甲子園を目指して

準決勝では静岡にコールド負けを喫したものの、10年ぶりのベスト4進出で歴史を作った。  山本監督は試合後に目を潤ませ、「満身創痍の中でよく頑張ってくれた」と苦難を乗り越えて成長したナインをねぎらい、こうエールを送った。「目標を持ってやっているときの顔はすごくいい顔だった。その気持ちを忘れずに、これからも生活してほしい」。

あと一歩先の甲子園へ。逞しくなった3年生の姿を後輩たちが追いかけ、追い越す。

 

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