【静岡】「絶対王者」#静岡

優勝 静岡
「絶対王者」

秋春は苦しみながらも貫禄の夏V 26度目の夏聖地へ

第103回選手権静岡大会は名門・静岡の優勝で締めくくられた。常に優勝候補に挙げられながらも苦戦した秋と春。自分たちのあるべき姿を一から見つめ直すところから踏み出した今大会の結果に、チームは喜びと安堵に包まれた。(取材・栗山司/写真協力・山下大輔)(2021年9月号掲載)

エース・髙須が37イニングを無失点

絶対王者が盤石の戦いぶりで頂点に立った。  決勝戦では東海大静岡翔洋の好投手・鈴木豪太を打ち崩した。初回と2回に1点ずつ挙げて試合を優位に進めると、5回には1死一塁の場面で4番・池田惟音(3年=外野手)を打席に迎えた。「とにかく走者を還そうという意識だった」と池田は6球目を強振。打球はライトスタンドに消えていった。  そして、4対0で迎えた9回、エース・髙須大雅(3年)が最後の打者を二塁ゴロに打ち取ると、マウンド上付近で歓喜の輪が広がった。  髙須は今大会、全5試合37イニングを無失点。192センチの長身から投げ下ろすストレートは威力満点で、相手を寄せ付けなかった。マウンド上で常にポーカーフェイスの右腕は「秋春と悔しい思いをして、甲子園に行くためにやってきたので本当に嬉しい」と優勝後、ようやく白い歯をのぞかせた。

秋春の悔しさをバネに成長

ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。昨秋は優勝候補に挙げられながらも県ベスト8で敗退。今年3月には選手たちが全面的に信頼を寄せていた栗林俊輔監督の退任が発表された。春もベスト4止まり。守備のミスが響いての敗戦だった。大会後、キャッチボールから丁寧に見直していった。夏は鉄壁の守備で無失策。髙須も「自分の無失点は野手のお陰です」と感謝する。  4月に就任した池田新之介監督は「春の悔しい敗戦があって、そこからもう一度、負けない野球を徹底するために一生懸命に取り組んでくれた。よく頑張ってくれた」と選手の意地とプライドに目を細める。

伝統校が新時代へ

2大会連続26度目の優勝を飾り、「ホッとしています」と胸を撫で下ろした池田監督。「前任の栗林監督が甲子園で勝負するために本当に心を込めて作ってきたチーム。そのチームを引き継ぎ、スタートラインに立つことができた」  池田監督のもと、新たな黄金時代を築き上げる。

 

おすすめの記事