河川敷グランドに照明設置で練習環境充実
チーム改革3年目、2021年秋は価値ある「3勝」
東東京の伝統校・豊南は1981年の東東京大会で甲子園にあと一歩に迫る準優勝になるなど確かな実績を残す。改革を進める野球部は2019年から新たな体制で強化を図っている。その成果は着々と表れてきている。
■チーム改革3年目、成果着々
東東京の古豪・ 豊南が復活の時を迎えようとしている。学校のチーム強化計画によって2019年に、元早稲田実エースで社会人野球・日本石油(現ENEOS)で活躍、現役引退後に副部長を務めた弓田鋭彦氏を監督として迎え入れた。さらに、コーチには、龍谷大平安高(京都)、富士大(岩手県)でプレーし武相(神奈川)でコーチを務めた小林周平氏が加わった。2019年秋の新チーム始動時の部員はわずか11人だったが、2021年秋は2年生13人、1年生18人の計31人。多くの選手たちが豊南のユニホームに袖を通し、泥だらけになりながら白球を追う。荒川河川敷の専用グラウンドには、活気が戻ってきている。そのムードが、秋の結果へつながった。
■接戦を勝ち抜き、秋予選突破
豊南は、2021年秋に価値ある「3勝」を挙げた。1次予選は簡単なブロックではなかったが、予選1回戦では1年生エース花田大知の好投によって穎明館に延長激戦の末に1対0でサヨナラ勝ち。予選決勝では成瀬と対戦し、7対3で勝利し、秋季都大会出場を決めた。都大会1回戦の相手は、伝統校・法政高。自信を持って挑んだ一戦は、初回に本塁打を打たれて先制されたものの、2回に大久保龍之介(1年=外野手)のタイムリーなどで3点を奪い逆転に成功すると、5回にはエース花田のタイムリーなどで2点を追加。終盤は、法政高の反撃があったものの、エース花田から、杉山未空人(2年=三塁手・投手)への継投によって5対4で逃げ切ってみせた。2回戦ではシード明大中野八王子に0対8で敗れたがベスト32という結果を残した。
■ダークホースになる可能性
2022年夏へ向かうチームは、溝口公啓主将(2年=捕手)、主砲の杉山が軸。エース花田、1年生遊撃手・持田洸、大久保ら1年生が実力を伸ばす。チームには学年の枠を超えた競争が生まれている。春・夏はダークホースになる可能性を秘めている。弓田監督は「成功体験を一つひとつ積み重ねることでチームには変化が見えている。選手たちには、一つでも多くの勝利の喜びを味わってほしい。それがチームの伝統になっていく」と選手を見守る。2021年9月には河川敷グラウンドに移動式照明が整備され、より充実した環境で練習に取り組めるようになった。河川敷には、選手たちの威勢の良い声と、金属バットの快音が響く。この3年間で、チームは大きく変わった。そして選手の意識も変わっている。河川敷を照らす灯りが、チームの希望の光となる。