2026年4月に「明治大付属世田谷」へ
「ニチガク」の名を歴史に刻むため
2021年春にベスト8へ進出するなど実力をつける日本学園。1885年創立の伝統校は、2026年4月に「明治大付属世田谷」となる。校名変更まであと4年、選手たちは日本学園として初の甲子園を狙う。
■昨春都大会では帝京撃破
日本学園は過去3年間で多くの番狂わせを演じるなど、じわじわと力を伸ばしてきた。前チームの2021年春には1回戦で帝京と対戦。サウスポーエース浅井颯斗の好投によって名門に5対1で勝利し、周囲を驚かせた。続く2回戦でも岩倉を下しベスト16進出を果たした。今季の選手たちは士気高く新チームへ移行したが、秋季大会1次予選決勝で東京に1対4で敗れて都大会出場を逃した。拮抗したゲームになった中で、打てなかったわけではないが、チャンスで攻撃のミスが続き、好機を生かせなかった。選手たちはその現実を受け止めて11月の練習試合、そしてオフシーズンのトレーニングに励んでいる。
野村秀也主将(2年=内野手)は「予選決勝ではゲームの流れがつかめずに自分たちの力が出せないまま終わってしまった。あの悔しさを忘れてはいけない」と敗戦を胸に焼き付ける。
■秋予選敗退も大きな可能性
近年の好結果によって入部希望者が増加。現在は1・2年生合わせて50人で、新入生を迎えると80人規模となる。昨春に入部した1年生32人は誰ひとり辞めずに野球を本気で楽しんでいるという。
例年、日本学園は粘り強い守備で接戦をモノにしてきた。だが今年の日本学園は、攻撃型のスケールの大きなチームだ。攻撃は、リードオフマン橋本廉(2年=捕手)、主砲の青栁駿(2年=内野手)が絶対的な柱となり、周囲にはタイプの違う好打者が揃う。4番・青栁は「今年のチームは打撃が武器。強い気持ちで戦っていく」と春を待つ。秋予選時点では未完成だった投手陣だが、中澤一悟、船谷理人の両右腕、岩村匡太、清田虎夢の両左腕が切磋琢磨することで安定感が増す。高橋裕輔監督は「打線に力があるだけに、投手、守備が整備されればおもしろいチームになると思う」と期待を寄せる。
■「ニチガク」の名を歴史に
選手たちは、「ニチガク」のプライドを懸けて、勝たなければいけない理由がある。日本学園は12月23日に学校公式サイトで、明治大の系列校化が決定し2026年4月から学校名が「明治大付属世田谷」になることを発表した。あと4年後には伝統男子校「日本学園」がなくなり、男女共学校になる。野村主将は「『日本学園』はまだ甲子園に行けていない。『日本学園』の学校名が残っているうちに甲子園出場を果たしたい。そのためには優勝しなければいけない」と気持ちを込める。
学校にはあと4年の時間があるが、選手たちの「最後の夏」は一度だけ。選手たちは、「ニチガク」の名を歴史に刻むために全力を尽くす。