2008年に下田北と下田南が合併し誕生
伊豆半島・下田からベスト16以上目指す
2008年に下田北と下田南の合併により創設された下田。下田市の中学校に野球部がないハンディを抱えながら地域との連携で強化を図っていく。(取材・栗山司)
■少人数でも元気よく
伊豆半島の南部に位置する下田。2008年に下田北と下田南が合併し、新たな高校として産声を上げた。
野球部を指導するのは山下貴大監督。2019年からチームを率いる。就任1年目は3学年合計で10人からスタート。少人数の中で2020年夏の代替大会では5年ぶりに夏1勝を挙げた。その後、他校との合同チームを経て、現在は合計13人(2年生=3人、1年生=10人)で活動する。
下田市には現在、4つの中学校があるが、いずれも野球部を持っていない。したがって、小学校のときにプレーしていても、中学校では野球ができない生徒もいる。地域の状況を山下監督が説明する。「下田市の中学校に野球部がありませんので、中学生が野球をやるならクラブチームに入るしかない状況です。3年間のブランクがあって、高校からもう一度野球をやる選手もいます。ありがたいです。1年生に関しては地元の『下田ボーイズ』に選手が多かった関係で、部員数が少し増えましたが、人数が少ない中でも、全員で元気よく活動したいと思っています」。
■ランキングでモチベを上げる
校舎から道を隔てたグラウンドの門をくぐり、最初に目につくのが、壁に大きく飾られた「必笑」の文字だ。その横には、「一戦必勝~他喜力~総選挙結果」というタイトルの紙が貼られ、ランキング形式で1番から順番に選手の名前が並んでいる。
毎月、審査項目を決めて、それに対する点数を選手たちが順位付けしている。項目は野球の技術だけでなく、学校生活に関することも含まれている。「なんでその順位なのか、その点数なのか。コメントも選手たちが書くようにしています。毎月、順位として出てくるので、周りの目線を感じることができ、もっと上を目指していこうという気持ちが出てくると思います」(山下監督)。 選手たちも、このランキングを励みに日々取り組んでいる。主将の白井裕大(2年=捕手)は「毎回、1位を狙ってやろうと思って頑張っています」と話す。
ランキングをはじめ、“見える化”を重要視する山下監督。グラウンド内のホワイトボードには自ら決めた選手ごとの今週の目標と今月の目標も掲げられている。
■ベスト16を目指して
今秋の大会は初戦で富士宮西に惜敗(3対5)。「自分たちのペースで野球ができなかったことが敗因」と白井は分析する。「僕は2歳上の兄が下田高校野球部にいて、兄たちは一回も公式戦で勝っていなかったので、自分が入って勝ちたいと思ってここに来ました。秋の悔しさを晴らすために、冬に鍛えてベスト16までいきたいです」。
近隣に高校がなく、練習試合に行くためには、最低でも片道1時間を要する。そんなハンデをものともせず、逞しく成長を続ける下田ナイン。夏は必ず笑う。