【武相】  「頂点へ」

4度の甲子園出場を誇る名門が復活を誓う
今夏にグラウンドが全面人工芝化し環境充実

 1960年代に4度の甲子園出場を果たした伝統校・武相は、2020年夏から武相OBで元富士大指揮官の豊田圭史監督が率いている。就任3年目、一歩ずつ進化するチームは神奈川の頂点を目指して突き進む。

■未完成だが伸びしろが大きい  

戦うための土台は出来上がってきた。1964〜1968年の5年間で計4度の甲子園出場を果たした名門だ。1968年夏以来甲子園から遠ざかっているが、選手たちの闘志は変わらない。復活を懸けるチームは、2020年夏に武相OBで元富士大指揮官の豊田監督を呼び寄せて再建を図っている。豊田監督は富士大指揮時代に山川穂高(西武)、外崎修汰(西武)ら個性あふれる選手を育ててドラフト指名を見守った。今秋のドラフト会議で日本ハムから2位指名された金村尚真も2年夏まで指導した。豊田監督は「高校生は未完成だけに伸びしろが大きい。色がついていないので、どんな色にも輝いていける」と指導に熱を込める。

■創立80周年で人工芝グラウンド完成  

学校も野球部復活をサポートしている。学校創立80周年を記念して2022年7月にはグラウンドが人工芝化された。さらにプロ仕様のブルペンも整備されて環境は整った。今季のチームの主軸となる2年生は、豊田監督就任後の武相を志して伝統のユニフォームに袖を通した選手たち。先輩たちから伝統のタスキを引き継ぎ、結果を残すべく白球を追う。指揮官は「2021、2022年夏の3年生たちは、結果よりも大事なものを残してくれた。一生懸命に野球へ取り組む姿がいまのチームのベースになった」と感謝を口にする。先輩たちの想いを背負ってスタートを切った新チームは、士気高く秋季県大会へ向かった。

■秋季では横浜と対戦  

戦力は整った。長身サウスポー山之内俊亮(2年)、最速140キロ右腕・永嶋心太郎(2年)のダブルエースに、1年生右腕・難波虎汰郎(1年)を加えた投手陣が軸。打線は、菅原一大(2年=内野手)、伊藝光佑(2年=外野手)、武岡朝飛(2年=内野手)が主軸を担う。秋季県大会では2回戦で橘、3回戦で綾瀬に勝利して4回戦の横浜戦へ。3回までは2対2と互角だったが、その後に自分たちのリズムをつかめずに3対10で敗れた。最終的に点差は離れたものの9回まで戦えたことは収穫だった。秋季県大会を終えたチームは、冬トレの一環として食トレをスタート。1日4回の補食でフィジカルアップを目指す。秋季県大会後の練習試合では関東強豪との戦いで次々と勝利を挙げるなど大きな手応えをつかんだ。赤垣雄大主将(2年=内野手)は「春・夏は惜しい試合ではなく勝ち切る試合をみせる。一球一打に魂を込めて戦っていく」と話す。復活の時は近づいている。

おすすめの記事