破壊力ある打線を武器に挑む
12年ぶり6度目の甲子園へ
春夏通算8度の甲子園出場を誇る前橋商。経験値高いチームは今夏、2010年夏以来、12年ぶり6度目の甲子園を目指す。
■覚悟を決めて「最後の夏」へ
経験値の高いチームだ。前橋商は2020年秋に県大会準優勝で関東大会へ出場した。1回戦で常総学院と対戦(0対9)したが、当時1年生だった中曽根幸生(現3年=外野手)、田彩人(現3年=内野手)、塚本啓太朗(現3年=内野手)がスタメン出場、そのほかベンチ入りを果たした選手も多かった。選抜切符がかかる大舞台で関東強豪相手にプレーした経験が選手たちの糧になっている。その一方で、悔しさも味わった。昨年夏には1回戦で伊勢崎工と対戦し0対13で初戦敗退となった。まさかの敗戦。甲子園レベルと戦った一昨年の秋の関東大会、そして夏の怖さを知った昨夏の群馬大会。多くの経験を積んできた選手たちは、覚悟を決めて「最後の夏」へ挑む。
■破壊力を増す重量打線
昨秋は、準決勝で桐生第一相手に初回に5失点して主導権を渡すと0対7で屈した。今春は準々決勝で前橋育英と対戦。4回表時点で0対9とリードを許したが、4回裏に真藤允宗(2年=内野手)がホームランを放つなど打線が爆発して一挙7得点。最終的には8対15で敗れたが、コロナ禍で準備期間が限られた状況で夏への手応えを持ち帰った。重量打線は、夏に向けて破壊力を増す。打撃練習では迫力の打球が外野ネットまで届き、練習試合では上位、下位打線の関係なくホームランが飛び出す。クリーンアップの田、塚本、星野歩夢主将(3年=内野手)のほか、真藤、神道宥良(3年=捕手)らもスタンドへボールを運ぶ力を秘める。秋、春ともにチームの課題は投手陣だったが、サウスポー秋山怜麻(3年)らを軸に態勢は整った。他県強豪相手に練習試合で好投するなどコンディションを上げる秋山は「エースとしてチームを引っ張っていく。チームを勝たせるピッチングをみせたい」と開幕を待つ。
■2020年に創立100周年
前橋商は2020年に創立100周年を迎えた。2010年夏以来、甲子園からは遠ざかるが、戦力拮抗の今夏の群馬大会は大きなチャンス。今年1月の書き初めで「繋」という文字を記した星野主将は「ここまで多くの経験を積んできたが、もう次はない。この夏は最後の戦いになるので、スタメン、ベンチ、スタンドのみんなの思いをつないで全員で戦っていく」と気持ちを込める。前橋商グラウンドの部室には「心ひとつに全員野球」のスローガンが掲げられている。前橋商は、全員の力を合わせて甲子園に舞い戻ることで、次なる100年の新たな一歩を踏み出していく。