【掛川東 野球部】「成長の証」 #掛川東

自分たちで考える野球が定着
春のベスト4を自信に夏へ向かう

 今年度の春季大会で堂々の3位に輝いた掛川東。創部以来の好成績を残し、上昇気流に乗っている。成長を続けるチームは、その自信を武器に最後の夏に挑む。(取材・栗山司)

■創部初のベスト4進出  

「春は幸せな2週間を過ごさせてもらいました」     

2019年から指揮を執る世古雄馬監督はしみじみと語る。この春は1997年の創部以来、初となる県ベスト4進出を果たした。  初戦で誠恵をコールドで下すと、2回戦では駿河総合のプロ注目左腕・原崎翔陽を打ち崩した。原崎対策として、打撃マシンを通常より一塁側にずらし、内角球を打つ練習を繰り返した。その成果を発揮した。  3回戦では昨年夏の大会で敗れた加藤学園と対戦。9回、10回と土壇場で2点差を追いつく粘りを見せる。雨の影響で継続試合となり、2日後の試合では宇田篤史(3年=投手)のタイムリーでサヨナラ勝ち。2日間3時間52分に及ぶ熱戦を制した。「秋までの自分たちだったら、点を取られたら反撃ができなくて終わっていましたが、諦めずに粘り強く戦うことができました」と主将の榛村元気(3年=捕手)が胸を張る。  さらに、準々決勝では浜松工を撃破。準決勝では静岡に敗れたものの、3位決定戦では静清を破った。

■練習メニューを選手たちが考える  

世古監督は春の躍進の要因として、「運が良かった」と謙遜しつつ、「強いて挙げれば自主運営してきたことが実ったのでは」と分析する。  今年3月のシーズン前、「言われていることだけをやっていたら、これ以上伸びていかないのでは」と感じた指揮官は、ミーティングを開き、野球をやり続ける上で、自分たちにしかできないこと、大人でしかできないことを整理させたという。  最終的に、「練習メニューは自分たちで考えることができる」という答えにたどり着いた。  今年の3年生部員は12人。3人ごとの4グループを作り、週ごとに入れ替わって練習メニューを作っていった。「自分たちで作った練習メニューを実行することで責任感が少しずつ芽生えていきました」と世古監督。同時に「子どもたちの考える機会を奪ってはいけない」という新たな気付きも生まれた。  春の大会前の栃木遠征では作新学院、国学院栃木の強豪相手に連勝。遠征中も監督からの指示ではなく、選手が主体となって行動し、考える力を養っていった。それが春の大会での躍進につながった。榛村は自信を持ってこう話す。「自分たちで練習メニューなどを考えているので、責任感が出て、モチベーションも上がりました。マイナスの言葉がなくなり、大会では雰囲気良く戦うことができました」。

■進化を続けて勝負の夏へ

第3シードで迎える夏。春の大会後はあえて飛ばないバットを使用して練習を重ねた。これも「もっと打撃を上げたい」という選手たちから出た意見を吸い上げて実行に移した。  ディフェンス面はエース・宇田を中心に堅く守り抜く。打線は足を使った機動力に加え、重たいバットを使ったことによって重量感が出てきた。  進化を続ける掛川東が目標の甲子園1勝に向けて突き進む。

 

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