春甲子園からさらにパワーアップ
全員野球で静岡の夏制覇
第104回全国高校野球選手権静岡大会は、日大三島が33年ぶり2度目の優勝を果たし、春夏連続の甲子園出場を決めた。
■強化練習でレベルアップ
全員野球を掲げる日大三島が33年ぶり2度目の頂点に立った。
春の選抜大会は金光大阪に0対4で敗退。その後、永田裕治監督流の3度の強化練習を経て、チームは進化した。 守備に重点を置いて一人1日約500球を捕球したのが1度目。春の大会中に行った2度目は走り込みで下半身を鍛え抜いた。暑い夏を想定して体を極限に追い込んだ中でベスト8入り。主将の加藤大登(3年=外野手)は「ヘロヘロの状態を春の大会で経験したことは夏に向けてプラスだった」と振り返る。 そして、5月から6月にかけての3度目は実戦練習を重ねてレベルアップ。聖光学院(福島)、浦和学院(埼玉)などの強豪校と対戦し、自信を深めてきた。
■準決勝の激闘を勝ち切る
今大会、永田監督が「一つ目の山」と見据えたのが3回戦(対藤枝明誠)。エース・松永陽登(3年)が完封を飾り、第1関門を突破する。 もう一つ、大きな山となったのが準決勝(対掛川西)。加藤は「間違いなく今大会のターニングポイントとなった」と話す。1点を追いかける8回に同点に追いつき、タイブレークの13回には2点のビハインドを跳ね返してサヨナラ勝利。ベンチとスタンドの部員全員の執念で勝ち取った1勝だった。 その勢いのまま翌日の決勝戦は初回に松永のタイムリーで先制し、2回には吉川京祐(3年=内野手)のレフトオーバーのタイムリー三塁打で加点。リードを4点に広げた6回には四球を挟んで7連打、打者9人の猛攻で一挙4点を奪った。投げては松永が「疲れはあったが、絶対に甲子園に行くという気持ちで戦った」と要所を締める投球を展開。9回裏、最後の打者をショートゴロに打ち取ると、マウンド上に歓喜の輪が広がった。
■甲子園での勝利を目指して
「逞しく、一歩ずつ、着実に進化してくれた」と永田監督。指揮官として通算20度目の甲子園出場となる。「甲子園はいくつになっても感動を覚える場所。この年になっても震える場所。その場所を選手たちに経験させてあげたいという思いだけです」 選抜の悔しい敗戦から4カ月。「甲子園勝利」という忘れ物を78人の部員全員で奪いにいく。