逆境に負けず絶対に諦めない戦いを体現
準決勝は健闘もタイブレークで涙の敗戦
掛川西が最後の夏をベスト4で終えた。春季大会は出場辞退となっただけに、今大会は多くのファンが注目した。静岡、日大三島など強敵相手に締まった試合展開で最後まで諦めない姿勢を貫いた。
■逆転で名門対決を制す
春の大会は新型コロナウイルスの影響で出場を辞退。逆境を跳ね返したナインは2年連続でベスト4進出を果たした。
シード校の浜松工、昨夏準優勝の東海大静岡翔洋を下してベスト8へ。そして、準々決勝では優勝候補の静岡相手に大熱戦を演じた。
7回までゼロ行進が続いた両チーム。8回裏に1点を失い、9回表は2死まで追い込まれて万事休すかと思われた。けれども、ここから意地を見せる。 安打と四球で繋いで満塁のチャンスを掴み、5番・山本柊太(3年=投手、内野手)の走者一掃のタイムリーで試合をひっくり返した。「名門対決」を劇的な逆転で制し、草薙球場に詰めかけた大応援団と喜びを分かち合った。
■最後まで諦めずに戦い抜く
甲子園まであと2勝。準決勝の相手は、昨秋の県大会でサヨナラ負けを喫した日大三島となった。「リベンジマッチだと思って、コンディションを整えてきた」と主将の河原﨑琉衣(3年=捕手)。その言葉通り、先発の岩澤孔大(3年)、2番手の黒羽豊(2年)、3番手の山本が持ち味を発揮し、延長12回を1失点に抑えた。
タイブレークに突入した13回表、代打・古川士道(2年=内野手)のタイムリーで2点を勝ち越し。勝利は目前だった。
だが、その裏、3点を失ってサヨナラ負け。大石卓哉監督は「最後の最後まで諦めず戦い抜いてくれた」と選手を労い、河原﨑は「春の悔しい思いを夏にぶつけようと思って、本気で毎日練習をやってきましたが、ベスト4という壁を破れずに申し訳ないです」と目に涙を浮かべながら気丈に振る舞った。
■応援されるチームに
3年生が培った諦めない姿勢は後輩たちに引き継がれる。
「高校野球は繋いでいくものです。このベスト4を見た2年生と1年生がどう感じるか。また1からになりますが、周りのみなさんに応援してもらえるようなチームにしていきます」(大石監督)。
2年連続のベスト4から、一歩先へ。2009年春以来の聖地に向けて挑戦は続く。