殊勲の準優勝、「さわやか宇南」
再現 投打の迫力示した「県立の星」

 宇都宮南が今夏の栃木大会で旋風を起こした。準決勝で佐野日大を下して14年ぶりに決勝へ進出。決勝戦では国学院栃木に惜敗したが、「さわやか宇南」を再現した。

■選手の力を引き出す指導  

県立宇都宮南が決勝へ進出するとは誰が予想しただろうか。宇都宮南は1983年に夏甲子園初出場、1986年の初選抜では準優勝の快挙を成し遂げている。どんなときも笑顔でプレーするチームたちには「さわやか宇南」の愛称が送られた。現在のチームを指揮するOB荒井浩司監督は、1983年の初甲子園時のエース。2020年4月から指揮を執り、選手の力を引き出す指導でチーム強化を図ってきた。菅原柊主将を軸とする今年のチームは、昨秋大会でベスト4へ進出。今春大会もベスト8へ駒を進めて夏のシードを勝ち取った。

■準々決勝から3試合連続2ケタ安打  

今夏は初戦となった2回戦で小山西を3対0で下すと3回戦では鹿沼東を12対4で撃破し準々決勝・青藍泰斗戦へ。春の準々決勝で敗れた相手だったが、初回に6点を奪うと主導権を手繰り寄せた。その後は撃ち合いになったが15安打10得点で10対7の逃げ切り。準決勝の相手は、第2シードの佐野日大。宇都宮南は序盤にリードを許したが、2対5で迎えた5回裏に4本の長短打を浴びせて4得点、さらに6回には相手投手の乱調に乗じて6点を奪い、12対5で7回コールド勝利となった。

■価値ある公立校の進撃  

決勝・国学院栃木戦も真っ向勝負。杉山瑛翔のタイムリー二塁打で先制すると5回まで4対4のイーブン。しかし中盤以降にじわじわと離されて4対8で敗戦となった。甲子園には届かなかったが、選手たちは胸を張って大会をあとにした。今大会は打撃力を武器に私学と張り合った。準々決勝・青藍泰斗戦では15安打10得点、準決勝・佐野日大戦では11安打12得点、決勝・国学院栃木戦では14安打4得点。準々決勝からの3試合で2ケタ安打を放った攻撃力は本物。1980〜90年代の「さわやか宇南」を再現したチームだが、今大会の躍進は、偶然ではなく必然。宇都宮南の決勝進出は、多くの公立校に勇気を与える価値ある結果だった。

 

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