【伊勢崎工】「合律的考動」

2021年夏に前橋商を破る「金星」
球場を盛り上げる「伊工劇場」開演

 

 伊勢崎工は1910年に県内初の工業高校として開校した歴史を持つ。野球部は過去に2度の準決勝進出の伝統を誇る実力校。チームは、新たな時代へチャレンジしていく。

 ■1988年夏に準決勝の伝統校  

伊勢崎工は、1988年夏に準決勝、1995年夏にベスト8進出を果たすなど実績を積み上げてきた伝統工業高。だが、時代の流れなどもあり、それ以降の最高位は4回戦。多くの公立校同様にベスト8の壁を破れない時間が続いてきた。そんなチームが2021年夏にジャイアントキリングを起こしてみせた。初戦で前橋商と対戦した伊勢崎工は、優勝候補相手にエース京田聖也が力強いピッチングをみせると打撃陣が爆発し13対0の5回コールド勝利。歴史的な金星を奪ってみせた。続く2回戦・大泉戦ではエース京田が三振の山を築くと大会記録となる20奪三振をマークし4対0で完封勝利。3回戦では農大二に屈したが、強烈なインパクトを残した。伊勢崎工には力のあるプレーヤーが集う土壌がある。

■『自律』と『他律』の共存  

チームを率いるのは、黒沢和也監督。前橋高から筑波大へ進学、特別支援学校勤務の傍、前橋高外部コーチとして経験を積み、2016年に伊勢崎工へ。2020年春に監督となった。野球道一筋の黒沢監督は「学生時代、野球を辞めたいと思ったことが一度もない。だからこそ野球の魅力、面白さを選手に伝えたい。選手たちの技術的な成長はもちろん人として成長していく姿をみるのが一番のやりがい」と話す。いまの選手たちには「合律的」という言葉を伝えて成長を促す。指揮官は「『自律』という言葉があるが、自分を律するだけでは何かが足りないと感じていた。チームメイトなど周囲の声をしっかりと受け止める『他律』も必要。その先に両方を共存させる『合律的』というキーワードがあった」と説明する。実戦練習中に気になる点があれば、その場で選手を集めて意見交換。選手たちと共通理解を重ねながらチームを作っていく。「指導者として生徒から教えてもらうことは多い」(黒沢監督)。「合律的」というワードは指導者としての自身にも向けられているのかもしれない。

■大物食いを実践するチーム

 今年のチームは、2021年夏に勝るとも劣らない力を秘める。最速132キロの本格派右腕・山本恵叶(2年)、多彩な変化球を駆使する制球派右腕・中脇琉貴(2年)のダブルエースが高いレベルで安定、守備が計算できる。打撃は、宮崎仁人主将(2年=内野手)、柳川清十郎(1年=外野手)のクリーンアップのほか、山本、中脇もシャープな打撃をみせる。昨秋県大会は富岡実、高崎工に勝利して3回戦へ。樹徳との戦いでは2対6で敗れたが、春・夏への手応えはつかんだ。宮崎主将は「最近はベスト8まで進むことができていないので、自分たちの代で歴史の続きを作っていきたい」と胸を張る。勢いに乗ったときの伊勢崎工は止められない。大物食いを実践する「伊工劇場」の開演は、間近に迫っている。

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