【三島北】 「メリハリ野球」

野球部復活から16年の進学校
環境を受け入れ割り切った練習メニューで工夫

 県内有数の進学校である三島北。勉強時間の確保に加え、校内に練習グラウンドがないという環境の中で昨夏は堂々ベスト8入り。新チームへの期待も高まっている。(取材・栗山司)

■新しい景色を見た夏  

昨夏はエース左腕・澤侑利(東海大静岡キャンパス進学予定)を擁して創部初のベスト8進出。就任1年目の小林和樹監督は「新しい景色を見させてもらった」と選手を称える。  同校は1901年に三島高等女学校として開校。1949年の男女共学化に伴い、野球部が創部した。しかし再び女子校となり、長く休部状態が続いた。  

2004年に再び男女共学化となり、野球部も同好会からスタート。2007年に53年ぶりに正式に復活した。  

チームの土台を作ったのは2008年から14年間に渡って指揮をとった前監督の白鳥真利氏。校内にグラウンドのスペースがない中で環境面に工夫を凝らして強豪私学と互角に渡り合うまでに成長させた。

■限られた環境・時間の中で  

学校内で活動できるのは約40メートル×20メートルの僅かなスペースのみ。週2度は近隣の球場を借りて練習を行うものの、グラウンドを保持しない県内では稀なチームだ。練習試合も全て遠征となる。

白鳥氏からチームを引き継いだ小林監督は「この環境だからこそ、割り切った練習ができる」とデメリットをメリットに変えている。  水曜日と木曜日は学校内で基礎練習やトレーニングに費やし、火曜日と金曜日の球場練習では実戦メニューに振り切る。進学校のため、練習時間も短いが、その中で集中して効率的にこなすのが特徴だ。「練習量としては物足りない。でも、この子たちは集中して物事に取り組むことが得意。割り切りが逆に合っていると思っている」(小林監督)。塩川太一主将(3年=捕手)も「やれる日、やらない日をしっかりと区別をつけているので、そこに関しては不便を感じていない」と決して言い訳しない。

■守備を強化し、再び旋風を

チームの歴史を作った3年生が引退し、昨年秋は2年生7人、1年生9人でスタート。レギュラー陣の全員が入れ替わり、経験不足の中で自滅するケースが目立った。東部大会の初戦は知徳相手に2対12で5回コールド負け。その後の練習試合でも負けが続いた。  

目立ったのは守備の乱れ。小林監督によると、1試合平均で4、5個の失策があったという。打撃力に自信があって得点を奪うものの、それ以上に失点してしまうケースが目立った。  その課題を克服すべく、オフ期間はトレーニングと並行して守備の強化をはかった。ノックを繰り返し、塩川主将は「まだ完ぺきとは言えませんが、どのポジションも秋よりは違った姿が見られています」と手応えを感じている。  

目標は県ベスト8。先輩たちの成績に並ぶことだ。掲げるスローガンのごとく、今年も三島から爽やかな風を吹かす。

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