初戦敗退、大量失点からの脱却!
1勝の喜びを知るチームの意識改革
公式戦での勝利は2年前の夏1勝が最後となっている静岡北。とにかく1勝を。団結力を武器に、14人の冬が始まった。(取材・栗山司)
■夏勝利から先へ
2021年夏、9年ぶりに夏1勝を挙げた静岡北。当時、ベンチで先輩の活躍を見ていた佐藤大城(2年=投手)は振り返る。「勝ったときは何ともいえない感じでした。このまま勝ち続けたいと思いました」 勝利の喜びを知った選手たちは、さらなる高みに挑戦している。 チームを率いるのは東海大静岡翔洋出身の杉本太輝監督だ。高校では投手と外野手をこなし、東海大を経て指導者の道に進んだ。大学時代、チームは日本一を果たしたが、自身はベンチ入りすることが叶わなかった。「レベルの高い人たちばかりで。試合には出場できませんでしたが、すごく学べた4年間でした」。 卒業後、静岡北で部長を3年間経験し、2020年春から監督を務める。「最初の頃は練習試合でも負けてばっかりでした。それが少しずつ勝てるようになり、今は勝ち負けが半々くらいまでになりました」と柔らかい表情を浮かべる。
■苦しいを楽しむ
監督就任後はつてを辿り、強豪校と練習試合を組んで選手たちの意識レベルを高めてきた。「今年の2年生は5人と少ないが、『チームを変えよう』と頑張ってくれている」と話す。現在、スローガンとして掲げているのが「苦しいを楽しむ」。これは新チーム結成時に主将の佐藤が中心となり、選手たち自身が作ったもの。こんな思いが込められている。「きつい練習やトレーニングもありますが、選手同士で盛り上げて全員で乗り越えていきたいんです」(佐藤) 練習は決して手を抜かず、励まし合ってレベルアップするのが静岡北のスタイルだ。
■繋いで得点を奪う
平日は授業の関係で全選手が集まるのが17時。短時間に集中して練習を行い、19時半から20時に終了する。今年の代に関しては「エラーなしで1勝」という目標を作って守備の練習に力を注いでいる。杉本監督がノックを打ち、選手たちが丁寧にさばいていく。「それでもミスから大量点になってしまう」と指揮官。秋の大会は初戦で駿河総合と対戦し、コールド負け(0対10)。11月の静岡市内大会では、秋の東海大会に出場した常葉大橘に21点を献上した。 キーポイントとなるのは投手陣。秋にエースナンバーを背負った佐藤は腕の位置をオーバーから下げて安定感を増している。「チームに貢献していくために変わらなければいけない、と思って腕を下げました。勝てる試合が増えてきました」と手ごたえを感じている。さらに、安部晴陽、海野龍平の1年生コンビが台頭してきた。一方で攻撃は長打力のある選手が少なくても、繋いで得点を奪っていく。 春は県大会出場、そして夏は一昨年の1勝を超えて快進撃を。部員一丸となって新たな歴史を作り上げる。