日本ハムドラフト１位の日体大・矢澤宏太の母校
地域伝統校、２度目の甲子園へ「凡事徹底」
藤嶺藤沢は、卒業生の矢澤宏太（日体大）が2022年秋に日本ハムドラフト１位を受けたことで活気付く。選手たちは吉報を力に変えて２度目の甲子園を目指す。
■野球場に掲げられた横断幕
2022年秋のプロ野球ドラフト会議。藤嶺藤沢の選手たちは学校食堂に集まり、“先輩”の指名を待った。投打の二刀流で話題を集めた日体大・矢澤宏太は、藤嶺藤沢出身。高校時代からプロ注目プレーヤーとして脚光を浴び、日体大へ進学。大学での活躍を受けてドラフト会議を前に日本ハムが１位指名を公表した。そして、単独指名で交渉権を獲得した。校内は、先輩の１位指名に湧いたという。野球部グラウンドには「祝 北海道日本ハムファイターズ１位指名 矢澤宏太君 平成31年３月卒」と書かれた横断幕が掲げられた。矢澤と同じサウスポーの根岸大和（２年＝投手）は「藤嶺藤沢出身の先輩がドラフト１位指名されたことは嬉しかった。レベルは違いますが、同じ左ピッチャーとして学ぶところが多い」と話す。矢澤の１位指名は、チームに大きな刺激を与えている。
■1985年に初の甲子園出場
藤嶺藤沢は学校創立70周年の1985年に初の甲子園出場を果たした。決勝戦で横浜を９対３で下して神奈川の頂点に立った。伝統の魂を宿すチームは1991年春に県大会優勝、2000、2003年秋に県大会準優勝を果たすなど激戦区神奈川で確かな足跡を残す。2021年からは野球部の礎を築いた山田晃生監督が現場に復帰し、卒業生の菊地幹部長（コーチ）がサポートする。2023年４月からは菊地部長がチームを指揮する予定で、チームには新たな風が吹き込んでいる。「凡事徹底」の言葉を大事にする菊地部長は「高校時代から指導者になるという夢があった中で、母校の後輩たちを指導できることに感謝している。選手たちから活力をもらっている。グラウンドだけではなく学校生活から徹底していくことで選手の成長を促したい」と指導に向かう。藤嶺藤沢は新たな時代へのターニングポイントを迎えようとしている。
■投打にパワーアップして春へ
チームは力を維持しながら虎視眈眈と上位をうかがう。2021年夏は５回戦で東海大相模、2022年夏は４回戦で横浜商に敗れて甲子園の道を断たれたが、それらの壁を越えれば次のステージが見えてくる。今年のチームは、最速137キロ右腕・小峰瑶大、最速135キロ左腕・根岸大和のダブルエースを軸にした期待の世代。打撃陣も菅原啓一郎（２年＝外野手）、小早川仁（２年＝捕手）、岩﨑琳平（２年＝内野手）、吉川尚（２年＝内野手）ら好打者が揃う。秋県大会では３回戦で横浜隼人に９対０で勝利し４回戦・三浦学苑戦へ。８回表まで３対５の展開だったが、その裏にミスから突き放されて５失点して３対10で敗れた。春・夏に懸ける加藤央祐主将（２年＝外野手）は「冬のトレーニングで投打にパワーアップして春は関東大会出場、そして夏の甲子園出場を狙う」と力を込める。チームは先輩・矢澤の１位指名を追い風にして、春・夏に高く飛び立つ。
