【太田】 「その先へ」

甲子園は夢ではなく現実目標
文武両道・伝統進学校の本気のチャレンジ

 明治30年開校で2022年度に創立125周年を迎えた伝統進学校・太田。確かな力を蓄えるチームは本気で甲子園を狙っていく。

■2021年春が進撃の始まり  

進撃の始まりは、2021年春だった。春県大会3回戦で前橋育英と対戦した太田は10対3の7回コールドで優勝候補を撃破し周囲を驚かせると、準々決勝では高崎商を下してベスト4へ進出した。自信をつけたチームはその夏も準々決勝で樹徳を破って4強へ進出。春夏連続のベスト4進出によって、力が本物であることを示した。2021年秋には新チームがベスト8へ進み、選抜21世紀枠候補に選出された。惜しくも選抜切符の吉報は届かなかったが、甲子園という夢が現実になった瞬間だった。就任10年目となるOB指揮官の岡田友希監督は「過去の選手たちが積み上げてきた土台の上に、いまのチームがあることを忘れてはいけない」と語る。太田には、伝統の力が宿っている。

■自分たちの進むべき道  

太田は、今季もチーム力を高めている。今年の選手たちは入学直後に、先輩たちの快進撃をスタンドで観戦。さらに選抜21世紀枠候補の表彰式にも立ち会った世代。自分たちの進むべき道の延長に、甲子園があることを先輩たちが教えてくれた。2023年のチームは、宮下誉生主将(2年=投手)と石倉希実主将(2年=内野手)のダブルキャプテン制度。この代は、前チームからレギュラーだった選手が少ないため、2人主将制にして基盤を固めた。さらに、裏キャプテンの丸山大輝(2年=内野手)が監督とのパイプ役を務める。  投手陣は最速130キロのストレートと、多彩な変化球を操る実戦派エース宮下主将を軸に、大型右腕・木部広太(2年)、軟投派右腕・大熊佑起(2年)の3本柱が揃う。攻撃は、高校通算11本塁打の長距離砲・布川大翔(2年=捕手)が得点源となる。安定した守備をベースに、チャンスで畳み掛ける戦いを目指す。

■秋県大会は主力離脱で13人の戦い  

新チームで挑んだ2022年秋は、手応えを感じていた。1回戦ではエース宮下の好投と、木部のリリーフによって伊勢崎清明に2対1で勝利。2回戦では優勝候補・関学大附相手に初回に5点を奪って主導権を握ると、エース宮下が2失点の完投で、5対2と逃げ切った。  進撃の予感が漂ったが、不運がチームを襲った。3回戦・利根商戦ではチーム内にコロナ感染が拡がってしまい、バッテリーなど主力が離脱。ベンチを含めて13人での戦いとなった中で奮闘したものの0対7で敗れる結果となった。ベストメンバーで戦うことができずに大会を終えた。3回戦に出場した石倉主将は「試合に出られなかった選手の分まで戦って次へつなげたかったが、力が足りなかった。離脱した選手に申し訳ない気持ちだった」と振り返る。上位進出はならなかったが、収穫を得たのは事実だ。チームは気持ちを切り替えて、春・夏へ向かう。  宮下主将は「今年はみんなの力を合わせて戦っていくチーム。先輩たちから学んだことを力にして結果を残したい」と前を向く。甲子園は夢ではなく現実目標。過去2年、ベスト8、ベスト4という戦果を残してきたチームは、その先へ進んでいく。

 

 

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