戦力充実、いざ悲願の甲子園へ
プロ注目の渡邊(捕手)、本多(センター)が軸
2020年夏の独自大会で初めて決勝へ進出し準優勝となった相洋。あれから3年、チームは悲願の甲子園を本気で狙っている。
■2020年夏の独自大会で準優勝
2020年夏は、相洋にとってのターニングポイントだった。5回戦で慶応、準々決勝で立花学園に勝利して準決勝へ。横浜スタジアムでの星槎国際湘南戦に9対6で競り勝つと、初の決勝へ進出した。東海大相模との対戦では、3対2のスコアだった7回に加藤陸久(現立正大3年)が2ランをレフトスタンドに運び5対2とリードを広げた。神奈川の頂点がはっきり見えていたが、ゲーム終盤に反撃を受けて最終的には5対9で屈した。選手たちは大粒の涙を流して、大会を終えた。今年の選手たちは、あの大会時に、中学生だった世代。甲子園へ行くために相洋のユニホームに袖を通した。機は熟した。
■甲子園へ行く「覚悟」
チームを率いるのは、OB指揮官の高橋伸明監督だ。大学卒業後に母校へコーチとして戻り、2012年からチームのタクトを振る。チームは2019年秋に準決勝進出、そして2020年夏に準優勝を果たすなど大きな戦果を上げた。相洋は2020年秋、2021年春、2022年秋にベスト8。チームは安定してベスト8に到達する地力を備えてきた。あとは、頂点への階段を駆け上がるだけだ。高橋監督は「数年前までは、甲子園という言葉を使ったことはなかったが、選手が甲子園を意識している以上、指導者としてもその言葉を使わなければいけない。この世代は『甲子園に行きたい』ではなく『甲子園へ行く』という気持ちが伝わってくる。僕自身もそういう気持ちで選手と向き合っている」と静かな闘志を燃やす。
■今年のスローガンは『悲願』
今年のチームは、世代屈指の捕手・渡邊怜斗主将(3年)を軸に、投打の戦力が充実している。渡邊主将は、二塁送球1.9秒をマークする強肩強打のキャッチャーでプロ野球スカウトが動向を追っている逸材だ。さらに、走攻守三拍子そろった本多立幹(3年=外野手)も評価が高い。1番・本多、4番・渡邊主将を屋台骨とするチームだが、永野悟史(3年=内野手)、川嶋大輝(3年=内野手)も力を伸ばし、打線の厚みは増した。投手陣は、実戦派左腕・中島翔人(2年)、・大谷祇人(2年)、大場智仁(2年)の本格派両右腕の2年生三本柱が確立されている。渡邊主将は「今年のスローガンは『悲願』。全員の力を合わせて初の甲子園出場を果たしたい」と力を込める。相洋は、神奈川の頂点を目指して突っ走る、それは神奈川高校野球の新たな歴史の始まりだ。