急成長の大型右腕・岩瀬将にNPBスカウト注目
6人の3年生がチームを引っ張り上位進出狙う
昨秋、今春と地区予選で敗退した菅。昨秋から指揮を執る平林明徳監督の下、選手たちは悔しい思いを糧に長所を磨いている。3年ぶりの夏の勝利、そしてベスト16以上を目指して虎視眈々と下剋上を狙っている。
■常にアップデートを続ける指揮官
平林監督は高校野球の指導に携わる前、リトルシニアのチームでコーチを務めていた。中学生の指導に携わる中で「高校野球の監督になりたい」という気持ちが芽生えたという。知人の紹介で当時、日本大の監督を務めていた鈴木博識氏(現・鹿島学園監督)に弟子入りを志願。日大の練習を手伝いながら指導者としての心得を学んだ。2012年から神奈川県の教員となり、2015年に相模田名を率いてベスト32進出。上溝でも監督を務め、2023年春に菅へ赴任した。「チームは生き物、常に進化する。自分自身も立ち止まるわけにはいかない」と学ぶ姿勢を忘れない。遠征先などでは多くの指導者や関係者と意見を交わす。自身が生まれ育った長野県で甲子園通算14勝の実績を持つ中原英孝氏にもアドバイスを求めたという。中原氏は松商学園、長野日大、日本ウェルネス長野の3校で通算40年監督を務めた名将。平林監督は全国レベルの考えにも触れ、指導者として常に幅広く見識を深めている。
■長所を見つけて選手が才能開花
平林監督は「自分の役割は出会った選手の長所を見つけること」と話す。「吸収力が高く、自分で感じたことをボールで表現できる」と背中を押され、急成長を遂げた一人がエース右腕の岩瀬将(3年)だ。昨秋から主戦として登板を重ね、秋季大会後の県外強豪校との練習試合で14奪三振を記録して自信を深めた。オフシーズンのトレーニングによって体重は10キロ以上増加。130キロ台中盤だった直球は140キロ台を計測し、複数球団のスカウトが視察に訪れるまでに成長を遂げた。投手が少ない台所事情もあり長いイニングを投げ抜くため、体に負担がかからないようなフォームに改善を続ける。中軸にも座るチームの中核に成長した岩瀬は「投打で活躍してチームを引っ張っていきたい」と自信をのぞかせる。経験豊富な平林監督の“目”が選手たちの個性を伸ばし、自信と勇気を与える。グラウンドでの体験は、選手たちのその後の人生を輝かせる。
■6人の3年生がチームを牽引
選手は3学年合わせて18人で、3年生はマネージャーを含めて6人。エースの岩瀬、1番打者で捕手としてもチームを見渡す小池神平主将(3年)、二遊間を守る菊地千翔(3年=内野手)と寺門快人(3年=内野手)、昨秋4番を打った実績もある浅田伸哉(3年=外野手)、マネージャーの荻原咲恵(3年)がそれぞれ自覚を持ってチームを牽引する。サイド右腕としてマウンドにも上がる寺門は「下級生が多いチームなので3年生が先頭に立って引っ張っていきたい」と自負する。今春は一次予選で春の県王者・武相と対戦。中盤まで3対5と競った展開に持ち込んだが、7回に守備の乱れなどで5点を奪われ7回コールド負け。予選敗退となったが強豪校との対戦は貴重な経験となった。小池主将は「春は守備のミスもあり、取れるアウトが取れなかった。守備の課題を夏までに克服して、見ている人たちがワクワクする野球をしたい。周りから応援されるチームになってベスト16以上を目指していく」と夏を見据える。昨春は3回戦まで勝ち進んだが、夏の勝利は2021年から遠ざかる。6人の3年生を中心にチームは未開の地を目指して歩み続ける。