パワーと泥臭さを備えた最強ダークホース
夏に底力を発揮するチームが頂点を狙う
1973年夏に甲子園出場を果たした実績を持つ伝統校・藤沢翔陵。夏に底力を発揮するチームは、「信」をテーマにトーナメントを這い上がっていく。
■“雑草”は踏まれても枯れない
藤沢翔陵の「夏」が近づいてきた。情熱と反骨心を兼ね備えた選手たちは、夏の大舞台で力を発揮していく。切磋琢磨する“雑草”は、2021年夏ベスト4、2021年秋ベスト8、2022年夏ベスト8、2022年秋ベスト8などの実績を残してきた。2023年夏、2024年春は桐光学園、2023年秋は横浜創学館に屈して8強入りを逃してきたが、アベレージでベスト8まで勝ち進む地力を備えてきた。さらに個性的な選手を育て上げることにも定評がある。昨夏の4番だった梅澤蒼空は、横浜桐蔭大に進学して1年生ルーキーながら4番を任されるなど活躍をみせている。“雑草”は踏まれても枯れない。何度も立ち上がることによって、それぞれが“花”を咲かせていく。それが翔陵の魅力でもある。
■夏のトーナメントを駆け上がる可能性
今年のチームは、篠崎大成主将(3年=外野手)を精神的支柱にして一つになっている。投打の二刀流として存在感をみせる上田里(3年=投手・内野手)が軸となり、屋台骨を形成。投手陣では、エース上田と、技巧派左腕・牧口侑矢(2年=投手)がテンポ良いピッチングでゲームを組み立てていく。打撃陣は、切込隊長役のリードオフマン平本湧大(3年=外野手)、パワーヒッター佐藤大樹(3年=内野手)、4番上田らが迫力のバッティングをみせていく。例年と比較して個人の力は目立たないが、投打のバランスが整い、安定した戦いをみせることができる。翔陵特有の“夏ヂカラ”が加味されればトーナメントを駆け上がる可能性を秘める。
■信じ合うことで力は無限になる
7月上旬の練習場で、OB指揮官の川俣浩明監督が選手たちに夏大会の最終登録メンバーを伝えていた。闘将は「背番号は20番までしかない。番号をもらった選手は、翔陵の代表として、仲間の分まで戦わなければいけない。またメンバー外の選手たちはスタンドで選手たちに力を与えてほしい」と語りかけた。今年のチームのテーマは「信」。一人ひとりの力は限られていても、信じ合うことで力は無限になる。川俣監督は「自分を信じ、仲間、スタンドが信じ合うことによってチームはもう一つ成長できる。自分たちが努力してきたことを信じて、胸を張ってグラウンドに立ってほしい」と夏の舞台へ送り出す。信は力なり。信じ抜いた先に51年ぶりの甲子園がある。