地元出身の11人が公式戦勝利を目指し団結
練習メニュー考案から始める自分たちの野球
地域の伝統校・清水西。野球にまっすぐ向き合う11人の選手たちが、勝利を目指して地道に取り組んでいる。(取材・栗山司)
■ボトムアップへ転換
選手11人が全て清水区の中学出身。地元選手で構成されたチームは2020年秋以来となる公式戦での勝ち星を目指し、新たな取り組みで日々レベルアップをはかっている。 就任3年目を迎える古谷誠浩監督が明かす。「この秋から練習メニューを選手に委ねてみようと。指示を待っているだけでは野球面でも、野球以外の面でも成長しない。選手全員が同じ方向を向くためにも、やってみる価値があると思った」 トップダウンからボトムアップへの転換。手探り状態からのスタートも、少しずつ各々で意見を出しあえる組織に変化していった。長澤快主将(2年=投手)に話を聞いた。「自分たちで考えるのは大変で、最初は難しかったです。でも、考えることでだんだんと今のチームの課題が分かるようになってきました。試合の中での自主的なプレーにもつながってきています」 選手間ミーティングで練習内容を決め、昼休みに長澤主将らが古谷監督に提案。アドバイスをもらいながら実行に移していく。
■バントが得意なチーム
チームの中心は長澤主将と西谷虎太郎(2年=外野手)。2人は中学の部活動引退後に参加した地元のクラブチームで一緒になり、「西高に行こう」と意気投合したという。「人数が少ないし、グラウンドも他の高校に比べて狭いのはわかっていましたが、みんなでやろうって決めました」(長澤主将)。 そんな長澤主将が投手陣の中核を担う。120キロ台中盤のストレートに変化球を絡めて打者を追い込んでいく。左腕の望月憂翔(2年)も負けていない。「球が遅くても不思議と打たれない」(古谷監督)。腕の振りと球速のギャップがあり、何といってもストレートが癖球だ。さらに角度のあるスピードボールを投げる西谷、スライダーが武器の菅原健龍(2年)、1年生の松永大輝もマウンド経験がある。 攻撃は1番の強打者・西谷が出塁し、バントを絡めて得点を奪っていく。「今年のチームはバントが得意なんです」と長澤主将。バント練習にも時間を注ぎ、プッシュバントなどで幅も広げている。一方で秋の大会後はウエイトトレーニングを導入。筋肉量が増えた分、打球スピードが上がり、安打数が増えている。
■全力プレーを心掛ける
目標は夏の大会で1勝を挙げること。そのために「全力プレー」をモットーに掲げる。長澤主将は「何事も全力でないと勝ちにつながらないと思っています」と力を込める。守備では最後まで全力でボールを追いかけ、攻撃では塁間を全力で駆け抜ける。 全力プレーの結果、秋の大会後は練習試合で勝てる試合も増えてきた。2024年はダークホースとなり、下剋上を起こして見せる。