難敵を撃破した勝利の打線
東海制覇&明治神宮大会出場へ
今秋を制したのは常葉大菊川だった。新チームの強化ポイントがはまり、最強打線が誕生。菊川の勢いが止まらない。(取材・栗山司)
■決勝は初回に6得点
圧巻の優勝だった。県大会5試合で総得点35。そのうち、4試合は初回に複数得点を奪った。一気呵成に攻め立てる姿は2007年に全国制覇を果たし、フルスイング打線として話題となった代を彷彿とさせる。
静岡との注目校対決となった初戦。主砲の児玉一琉に2本塁打が飛び出すなど、計8得点でコールド勝ちを飾って勢いに乗った。
投打が噛み合って勝ち進み、準決勝で東海大静岡翔洋を下して東海大会切符を手にすると、石岡諒哉監督が「打って勝とう」と選手を送り出した決勝戦でも実力を遺憾なく発揮。初回に2点の先制を許すも、その裏、すかさず先頭の橘木千空がライト前安打で口火を切り、4番・児玉のタイムリーと、相手のエラーで逆転。さらに、8番・鈴木瑠惟の三塁打などで、この一挙6点を挙げた。さらに2点差に詰め寄られた直後の4回には橘木のタイムリー二塁打などで3点を加点。試合を優位に進めた。投げては今大会、抜群の安定感を見せる左腕の大村昂輝が7回からマウンドに上がって試合を締めた。
■粘り強い打撃へ
今チームは夏の悔しさが原点にある。4回戦で聖隷クリストファーに4対5で敗戦。勝ち切れなかった原因がどこにあるのか。石岡監督は「選手だけではなく、自分も見直さないといけないと思った」と話す。思案したのは打撃に対する考え方だった。「今まではいいバッティングを追い求めて形にこだわりすぎていた。もちろん、技術もスイング力も大事だが、相手と勝負するのだから、理屈だけではない部分があると感じた」。
8月後半は種類を変えた連続ティーなど、野手全員で多い日には1日1000本以上を振り込んだ。主将の橘木は「手が痛くて体もきつかったのですが、みんなで乗り越えたことが県大会で打線が繋がった要因になったと思う」と成果を口にする。難しい球をしぶとく外野の前に落としたり、2ストライクからでもしつこく粘って安打をもぎ取ったり、簡単にアウトにならない嫌らしい打線に進化を遂げていった。
■目標は明治神宮大会出場
この秋の目標は東海大会を制し、明治神宮大会出場。「ここが目標ではなく、もっと強くならないといけないし、もっと強くなれるチーム」と期待する石岡監督。グレードアップした常葉大菊川が加速を続ける。