春6回夏4回の甲子園出場を誇る伝統校
「明日もまた野球がしたい」と思えるチームへ
桜美林は1976年夏に甲子園初出場で初優勝を成し遂げた実績を誇る。春夏計10回の甲子園出場を誇る伝統校は2023年秋に新監督が就任。新たな体制で2002年以来22年ぶりの甲子園を目指す。
■土台を継承して次世代へ
春6回・夏4回の甲子園出場を誇る伝統校・桜美林が、新たな指導体制で甲子園を狙う。2023年夏までチームを指揮した片桐幸宏監督が定年となるために西東京大会を最後に勇退。OBの津野裕幸氏が同年秋から監督に就任し新たなスタートを切った。津野新監督は桜美林卒業後に社会人シダックスでプレー、都市対抗野球大会に4度出場。現役引退後には桜美林大監督として手腕を発揮し、2016年秋に首都大学リーグで初優勝したほか明治神宮大会準優勝の実績を持つ。OB指揮官がチームのバトンを受ける形となった。津野監督は「片桐前監督の土台を継承して次世代へつなげていきたい」と母校のグラウンドに立つ。
■全員の声が新しいチームを作る
津野監督は現役引退後、大学で学び直したのちに桜美林大で指導。社会人、大学野球の経験を携えて高校野球指導の世界へやってきた。大学指導時代は、佐々木千隼(日野高―桜美林大―ロッテ―DeNA)を育てロッテにドラフト1位で送り出すなど選手育成への評価も高い。津野監督は「高校野球の“環境”が変わっていく中で時代に合わせたマネジメントを目指す。選手たちが『明日もまたみんなで野球がしたい』と思えるチームにしていきたい」と語る。選手たちの個性や意見を尊重し、全体ミーティングのほか、ポジション別や少人数グループミーティングを実施。学年の枠を越えて部員全員の声をチームマネジメントに反映している。「チームはレギュラーだけで戦っているのではない。全員の声が新しいチームをつくっていく」。風通しの良いマネジメントによって、チームは活気付く。
■野球小僧が集まる「伸びしろ軍団」
2024年のチームは、合代達哉主将(2年=内野手)を軸にして団結している。前チームにはエース吉田啓人、松村健吾ら西東京屈指の力を持つプレーヤーがいたが、現チームは「伸びしろ軍団」。3番ショートの攻守の要・柳原太陽(2年=内野手)、4番サードの岩ケ谷峻斗(2年=内野手)らが柱となり屋台骨を形成。最速133キロ右腕エース沼田優杜(1年)、リードオフマン増田篤暉(1年=内野手)ら1年生プレーヤーも伸び伸びと練習に励む。 学年の枠を越えた競争によってチームは進化。秋大会は1回戦で東京、2回戦で文京に勝利したものの3回戦で日大鶴ヶ丘に完敗。選手たちは、春・夏の巻き返しを誓って汗を流す。チームは近年の大会で「ベスト8の壁」に進路を阻まれている。エース沼田が「春までに球速を伸ばし、大事なゲームで勝てるピッチャーになりたい」と話せば、合代主将は「全員の力を合わせて勝利をつかむ」と力を込める。選手の意志を力に変える新生・桜美林は、トーナメントの頂点まで突き進んでいく。