【府中西】  「変化の兆し」

2019年夏にベスト16へ進出した都立気鋭
文化スポーツ等特別推薦開始で高まる期待

2019年夏にベスト16へ進出した実績を持つ府中西。2021年夏にも4回戦へ勝ち上がるなど力を誇示。激戦区・府中から都立野球の魅力を発信していく。

■過去最高タイの16強以上を目指す

何かを起こす予感が漂っている。JR南武線「西府」駅から徒歩15分の位置にある府中西。広大な学校敷地には野球に打ち込めるグラウンドが整っている。野球部は、恵まれた環境で日々のトレーニングに励む。府中、国立、立川、日野エリアは高校野球の激戦区だが府中西は2019年夏にベスト16、2021年夏にはベスト32へ進出するなど実績を残す。野球を本気で楽しみながら結果を追求するスタイルは健在。チームは過去最高タイのベスト16以上を目指して邁進している。野球部は2023年度入試から文化スポーツ等特別推薦選抜制度が導入され野球部強化を図っていく。チームには新しい風が吹き込み、変化の兆しが見えている。

■都立の野球を知る指揮官

2020年春からチームを率いる坂本瑞樹監督は、日大鶴ヶ丘出身で高校時代に西東京大会決勝へ進出した経験を持つ。前任校の練馬時代の2017年夏は4回戦で佼成学園と対戦し延長11回の激闘で敗れたもののベスト32を達成。2019年夏には4回戦で都立強豪・日野に勝利するジャイアントキリングを達成してベスト16へ進出した。練馬ではその夏に監督を譲ると、府中西に戦いの場を移した。コロナ禍での異動だったこともあり難しい状況ではあったが、2021年夏には4回戦へ進出。選手の長所を引き出す戦いで都立野球の魅力を知らしめた。坂本監督は「結果が選手の励みになっていく。府中西でも土台をしっかりと作って、魅力ある攻撃的な野球を目指していきたい」と話す。

■目標は西東京大会ベスト8

現在の部員数は、2年生8人、1年生7人の計15人。センスあふれる1番打者の前田唯斗(2年=外野手)が出塁して、2番・宮前龍(2年=内野手)が献身的な打撃でチャンスを広げる。そして1年生ながら4番を任される農塚就介(1年=捕手)が勝負強いバッティングでランナーを還していく。投手陣では右サイドの長身右腕・新沼陸が緩急と制球力を活かしたピッチングでゲームメイク、1年生の林風馬は昨夏から背番号1を背負っている。新チーム始動以降、1年生が力を伸ばしてチームは確実に進化している。後藤伊吹主将(2年=外野手)は「人数は少ないがみんな野球が好き。個性的な選手が揃っていて、一つになれば大きな力を発揮する。西東京ベスト8まで進出して神宮球場で戦いたい」と笑顔をみせる。府中西は、野心を胸に新たな未来を拓いていく。

 

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