3年生たちに公式戦勝利を!
名門出身監督が導く復活への道
昨年9月から長谷川直樹監督が指導している静岡学園。前向きに取り組むことで結果が伴ってきている。自分たちを信じ、更なる飛躍を誓う。(取材・栗山司)
■5年ぶりの春県大会出場
練習場所の一つである草薙球場に着くと、選手たちの元気のいい声が聞こえてきた。
出迎えてくれたのは長谷川直樹監督。昨年9月より指揮をとっている。強豪の関東一(東京)出身で、大学卒業後は一般企業に就職。13年間の勤務を経て、野球の世界に戻ってきた。「高校のときからいつかは指導者をやってみたいとは思っていたが、思ってやれるものでもない。その中で打診をいただき、自分の思いというよりも、何とか来てくれている選手たちと一緒に頑張りたいという思いが強かった」。そう謙虚に話す。
現3年生は高校に入学してから公式戦の勝利を知らない代だった。外部コーチ時代から選手と接してきた長谷川監督は「負けている姿しか見ていなかったが、何とか一緒に頑張って勝ちたかった」と挑んだこの春。県予選の初戦は科学技術を5対0で下すと、翌日の代表決定戦は市立沼津に6対1で勝利。両試合とも投打が噛み合って、5年ぶりの県大会出場を決めた。
■守備力向上が勝利につながる
「これまでは選手がやらされている感覚があったので、そこを払拭していきたいなと考えた。マウンド、バッターボックス、守備位置で最後にやるのは自分たち。そのときに『やれる準備、心構えを身に付けていこうよ』と伝えている」(長谷川監督)
取材日の練習ではノックが行われていた。選手たちに「やらされている」感覚はなく、明るく楽しそうに、それでいて最後までボールを追いかけ、全力で取り組んでいる姿があった。「選手たちは前向きに、いい表情でやり続けてくれている。それがこの春の結果につながったと思う」
特に力を入れてきたのは守備面だった。秋は守備が乱れて敗れることが多かっただけに、冬の期間は7割程度を守備にさいた。天野羽持馬主将(3年=内野手)は「守備が安定したことで我慢強く戦うことができるようになりました」と手ごたえを口にする。
また、長谷川監督は「守備の練習をすることで結果的に足が使えるようになって、走塁やバッティングにも生きた」と相乗効果もあった。
■1971年以来となる甲子園へ
新指揮官となり、新たに「凡事徹底」をスローガンに掲げている。天野は「学校生活、挨拶、掃除など、野球以外のことからしっかりすること。それが野球につながると思っています」と力を込める。
新1年生が入学し、3学年で45人となり、活気溢れる静岡学園。目指すは1971年以来となる甲子園出場だ。復活に向けて時計の針が動き出した。