ジャイアントキリングからの脱却
蒼き狼、虎視眈々と狙う甲子園

昨今の大会で東海大菅生や日大鶴ヶ丘に勝利するなど、金星を積み上げる駒大高。実績を高めるチームは、いよいよ頂点への階段を登っていく。

■西東京大会で下剋上完遂

勢いに乗ったときの駒大高は止められない。1999年春に選抜甲子園に出場した駒大高が、初の夏甲子園出場へ向けて士気を高めている。OBの川端教郎監督のもと攻撃野球を実践してきたチームは、2023年夏5回戦で東海大菅生を撃沈し、昨春も2回戦で関東一と好勝負を演じて土俵際まで追い詰めている。昨夏はノーシードエントリーでシード日大鶴ヶ丘のブロックに入ると、4回戦で対峙。白熱のゲームは9回を終えてスコアレスの息詰まる投手戦となった。駒大高はタイブレークの延長10回に2点を奪って、エース廣瀬天翔の完封勝利でシード撃破。群雄割拠の西東京大会で下克上を成し遂げた。

■甲子園までのルートを見据えて

甲子園は確実に近づいているのだろうか。その問いに対して川端監督はこう答える。「いいえ、まだまだです」。真意はどこにあるのか。2023年夏は、東海大菅生に勝利したあとの準々決勝で日大三に屈した。昨夏は日大鶴ヶ丘戦後に日大二に敗れて力尽きた。番狂わせを起こしたあとの試合に勝ち切る力が求められる。だが、この2大会には違いがあったという。昨夏は日大鶴ヶ丘戦、そして決勝までを“逆算”して投手起用を決めていたという。指揮官は「エース廣瀬を連投させればベスト8まで行けたかもしれないが、狙っていたのは甲子園。金星一つでは満足できない。結果的には勝ち上がれなかったが、選手たちも状況を理解して大会へ臨めたことがチームの一番の成長かもしれない」と明かす。

■新基準バット採用でも攻撃野球を貫く

昨秋始動の新チームには夏レギュラー4人が残り、センターラインは確立されている。攻撃野球を掲げるチームだが、新基準バット採用によって戦い方が変わっているのか。川端監督は「バットが変わってもスタイルは変えない。バントでランナーを進めるのではなく、少ないチャンスだからこそ長打で得点につなげていきたい」と貫く。パワーを養うため練習中には、マネージャーが焼きおにぎりをこしらえてフィジカル強化に協力。ウエイトアップを図る選手は、力強くバットを振って夏に備えていく。福本拓生主将(2年=捕手)は「ロースコアの試合が多くなっているからこそ、チャンスでの長打で一気に得点を奪っていきたい。粘り強い戦いで頂点を目指していく」と西東京大会を見据える。チームに求められているのは、ジャイアントキリングからの脱却。駒大高は甲子園までのルートを逆算して、攻撃野球で活路を見出していく。

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