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昨夏3回戦で国学院久我山と好勝負
加藤洋章監督就任3年目、チームに変化
2018年夏に5回戦進出の実績を持つ調布南が、再び変化の兆しをみせている。指導陣、選手たちが新たな伝統を作るために情熱を注いでいる。
■チームの進化を夏の舞台で表現
昨夏、調布南が確かな存在感を見せた。エース左腕・松倉修人主将(昨夏3年)を軸に西東京大会へ挑んだチームは、2回戦で光丘に7対0で勝利すると3回戦でシード国学院久我山と対戦した。シード優位の下馬評の状況で、調布南が堂々たる戦いをみせていく。4回まで0対2で進むと、5回に調布南が犠飛と相手エラーを誘って2点を奪って同点に追いついた。盛り上がるベンチとスタンド。選手たちは強豪相手に接戦を演じたが、終盤に力尽きて2対7で敗れた。しかし、チームの方向性が間違っていなかったことを夏の舞台で表現した。4番で出場した新チーム主将の菊池空翔(2年=内野手)は「一人ひとりがベストを尽くせば戦えることが分かった」と手応えを感じた。
■手応えが確信に変わった瞬間
調布南は、城東で助監督、日野で部長を務めた加藤洋章監督が2022年秋に就任し新たな風を吹き込んでいる。都立強豪での指導経験を、調布南の生徒の気質に合わせながら“インストール”。規律と主体性を調和させながらチームを構築していった。選手たちの意識を変えることで、チーム力が向上していった。それまでのチームには「甲子園」という目標を掲げるのに気恥ずかしさや戸惑いがあったというが、それ自体も変わっていった。指揮官は「夏の久我山戦で、甲子園を目指せるチーム、選手になったことを確信した。正々堂々、夢に向かって突き進んでいきたい。それが調布南の新たな伝統になっていくはず」と頷く。監督就任から3シーズン目、チームは土台が仕上がってきた。
■投打のバランスが整うチームへ
投手育成に定評がある調布南は、元阪神の山本幸正氏(堀越出身)が外部コーチとしてサポート。レッグアップ、体重移動、着地位置、リリースの動作を段階的に指導してフォームを固めていく。スペシャリストの指導を受ける石田弘樹(2年)、㓛刀圭人(1年)の両右腕ら投手陣が制球力を高め、春・夏へ向けて進化を遂げている。打撃陣は、パンチ力十分の左打者・小﨑拓海(2年=内野手)、フルスイングの菊池主将のクリーンアップが力強い打球を放っている。小﨑は「強豪相手でも最後まで食らいついていけばチャンスはある。勝負所で長打を打って勝利に貢献したい」と金星を狙っていく。「調布南の伝統、都立の伝統をつないでいく」(加藤監督)。もう善戦では満足できない。調布南は、格上相手からの勝利でチームの進化を証明していく。