
エコロジカルアプローチ&ラプソード活用
選手の能力を把握&最大化し春・夏へ挑む
プロ野球・楽天でコンディショニングコーチを務めた小山隆司監督が指揮する進学校・真岡。限られた時間での練習に励むチームは、ラプソードなどのデジタルツールや最先端の練習メニューを取り入れて選手の最大値を探っている。
■制約主導アプローチで技術向上へ
真岡・小山監督は、筑波大学大学院卒業後にプロ野球・楽天でコンディショニングコーチを8年間務め、田中将大(現・巨人、元楽天、NYヤンキース)らのフィジカルメニュー指導などを実践。その後、米国留学し本場の野球を学んだのちに出身地である栃木県で教員となった。2019年から真岡監督を務めると、2022年夏にはベスト8へ進出するなど選手の力を引き出してきた。最近は欧米で考案されたパフォーマンス向上メソッド「エコロジカルアプローチ」を取り入れた。「制約主導アプローチ」と呼ばれる同手法は、例えば「流し打ちは高評価」などメニューに制約課題を設けて、選手の意識改革を促し技術向上につなげていく。
■ラプソード活用が継投のヒント
昨春以降は、とちぎスポーツ医科学センター(TIS)からレンタルする弾道測定器「ラプソード」を活用。投手陣がピッチングを定期的に測定して、球質、変化量、特徴などを把握し実戦に反映させている。石見たいが(3年=投手)が「変化球の変化量計測で縦スライダーが有効だと感じました」と話せば、吉澤一晴(3年=投手)は「ストレートでもボールが動いているので、打たせて取るピッチングが有効だと分かりました」と自身の球質を把握する。今季のブルペンは、絶対的エースが不在だが、個性が光る選手が揃う。小山監督は「球質データを把握することは、継投の順番のヒントになる。違ったタイプのピッチャーに替えることで相手打線のタイミングをずらすことができる」と語る。
■弱点把握&課題克服で選手進化へ
今年の投手陣は、伸びのあるストレートと縦スライダーが特徴の石見、ブレ球が特徴の制球派・吉澤、スライダーが冴える佐藤堅心(2年)、島田颯(3年)ら個性派が揃う。打線は状況に応じたバッティングをみせる櫻井颯(3年=捕手)、一発が魅力の月井逞水(3年=内野手)らが主軸に座る。昨秋大会は1回戦で栃木工に屈したが今冬、選手たちはそれぞれの課題克服に励み進化を遂げた。スローガンは「前進」「日々成長」。赤上駿斗主将(3年=内野手)は「今年はチーム全員の力を合わせて戦っていく。ラプソードで投打のデータを計測することで自分たちの課題が理解できる。それを克服することで効果的な練習につなげていく。日々成長して夏へ向かっていきたい」と力を込める。真岡は、限られた時間を有効活用して、選手の能力を引き上げていく。野球の魅力、スポーツの奥深さを知る選手たちは、日々のグラウンドで成長していく。