2011年から夏10連覇の王者
困難を乗り越えて目指す聖地

2011年から夏10連覇を達成した作新学院。過去3年、夏甲子園から遠ざかるチームは、困難を乗り越えて4年ぶりの聖地を目指す。(取材・永島一顕)

■4年ぶりの甲子園へ一致団結

2011年から県内前人未到の夏10連覇を達成した作新学院。2016年夏にはエース今井達也(西武)、投打のキーマン入江大生(DeNA)らを擁して全国制覇を成し遂げている。全国名門の地位を築いたチームは2023、2024年に選抜出場を果たしたが、夏は2022年から甲子園切符をつかむことができていない。2022年は準決勝で国学院栃木、2023年は決勝で文星芸大附、昨夏は準決勝で石橋に屈した。3試合ともにどちらが勝ってもおかしくない激闘だったが、結果は無情だった。昨春の選抜甲子園、そして夏を経験した主戦・斎藤奨真(3年)、土井雄一郎(3年=内野手)、柳沼翔(3年=内野手)らが軸となって今季のチームは始動した。

■秋、春ともに佐野日大に惜敗

投打の戦力は整っているが、秋は準決勝、春は決勝でいずれも佐野日大に屈して、悔しさを味わってきた。今年のチームは王者ではなくチャレンジャー。2025年夏へ向かう作新学院をまとめるのは、俊足強打の攻守の要・葭葉慶治主将(3年=外野手)だ。攻守に闘志みなぎるプレーでチームを盛り上げていく。葭葉主将は春大会の打率3割5分の打点9、本塁打2で大会優秀選手に選出された。また春19イニングを投げた左腕・田口魁星(3年)も優秀選手となった。打線は葭葉主将、土井、柳沼ら能力の高い選手が打順上位を固めて相手にプレッシャーをかける。投手陣は、最速140キロ超の本格派右腕・斎藤、抜群の安定感を誇る左腕・田口を軸に大会へ臨む。葭葉主将は「守備を軸に勝負所で得点を奪っていく」と闘志を秘める。

■作新のプライドを宿す選手たち

困難には屈しない。作新学院は6月上旬から小針崇宏監督が指揮を外れて、今夏は佐藤充彦コーチが監督としてチームを率いる。佐藤氏は、作新学院OBで春日部共栄コーチ、作新学院大監督を経て高校コーチに就任。今夏大会の開幕直前にタクトを任された。指揮官は変わったが、選手たちがやるべきことは変わらない。2年半、グラウンドで積み上げてきたものを発揮するだけ。「夏を前にみんなの一体感がさらに増した。絶対に甲子園出場を果たしたい」(葭葉主将)。クラブハウスの入口には「挑戦者の扉」という文字が書かれている。作新学院のプライドを宿す挑戦者たちは、自分たちの力で甲子園へ続く扉を開ける。

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