計9回の甲子園出場を誇る伝統校
冨田新監督の夏初陣で2年ぶり聖地へ

2023年夏に13年ぶり甲子園出場を果たした伝統校・前橋商。今春からは新たな指導体制となり2年ぶりの甲子園を狙っていく。

■2023年夏に13年ぶりの甲子園

春3回、夏6回の計9回の甲子園出場を誇る伝統校。2023年夏には準決勝で樹徳、決勝で桐生第一に勝利して13年ぶりに甲子園切符をつかみ取った。新基準バット採用前で全国的に私学すう勢の時代での快挙だった。2024年夏は大型右腕・清水大暉(昨秋日本ハムドラフト4位)を擁して決勝戦へ進出。昨春選抜優勝の健大高崎と激闘を演じたが、終盤に突き離されて1対5で惜敗。2年連続の甲子園出場は果たせなかった。そして昨年度末、住吉信篤前監督の異動(桐生市商定時制教頭)に伴い、OBでコーチの冨田裕紀監督が指揮のバトンを引き継いだ。

■選手、コーチの対話重視でチーム一丸

冨田監督は前橋商、桐生市商、館林商工でコーチを務めた経歴を持つ。最初の前橋商コーチ時代は2009年春、2010年夏の甲子園出場を経験した。2021年春にコーチとして母校前橋商に戻ると、住吉前監督を支えて2023年夏の甲子園出場の大きな力となった。冨田監督は「コーチ時代は、『前商OBの住吉前監督と一緒に甲子園に行きたい』という思いで指導してきた」と振り返る。そして甲子園出場から1年半後に監督となった。「コーチ時代の延長のイメージです。選手、コーチ陣と対話を図りながら、チーム力が最大値になるように考えている。毎日の練習が夏につながっていく」。新指揮官は、選手、OBたちと共に夢を追う。

■2年ぶりの聖地へ、全員が主役

夏に向けて士気は高まる。小板橋快斗主将(3年=捕手)、水谷琉樹斗(3年=内野手)を軸にした今年のチームは、1年夏に甲子園アルプススタンドで先輩たちの勇姿を見守った世代。甲子園の記憶が脳裏に焼き付いている。昨夏は甲子園まであと1勝に迫りながら決勝で敗れている。小板橋主将は「僕たちは甲子園出場の喜びと決勝で負けた悔しさの両方を経験している。自分たちの代でもう一度甲子園に行って伝統をつないでいきたい」と話す。昨秋は準々決勝で健大高崎、今春も準々決勝で前橋育英に屈して2大会連続でベスト8。攻守のキーマン水谷が「健大など力のあるチームにも臆することなく戦って甲子園へ行く」と話せば、エース堤雅翔(3年)は「強い気持ちでマウンドに立って、投げ勝ちたい」と闘志を燃やす。今夏は冨田監督の夏初陣。2年ぶりの聖地へ。新生・前橋商は伝統を力に変えて甲子園へ突き進む。

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