2016年夏に初の甲子園出場
2度目の聖地へ全身全霊
2016年夏に初の甲子園出場を果たした八王子。あれから6年、西東京の頂点を射程距離に置くチームは2度目の甲子園を目指す。
■選手の個性が輝くスタイル
2度目の甲子園が、チームを呼んでいる。2016年夏に準々決勝で清宮幸太郎(当時2年)擁する早稲田実、準決勝で創価、決勝で東海大菅生に勝利し悲願の甲子園出場を果たした八王子。早乙女大輝、米原大地のダブルエースを軸にトーナメントを勢い良く駆け上がった。甲子園の門を開いたチームは、2017年夏ベスト4、2018年夏ベスト8など、甲子園に近い場所まで到達。選手の個性が輝くスタイル、そして勇猛果敢な戦いぶりなどから、さらにポテンシャルの高い選手たちが入部してきた。2021年秋には、エース羽田慎之介が西武からドラフト4位指名を受けてプロ入り。結果を含めて、野球部全体の評価が高まっている。今年の秋は、最速146キロのエース星野翔太(3年)らがドラフト候補に挙がり、プロ野球スカウトが熱視線を送る。
■全身全霊で西東京大会へ
甲子園切符をつかむ力を秘めているチームだが、昨夏から悔しい結果が続いている。昨夏の西東京大会では5回戦で狛江に惜敗。昨秋は、3回戦(ベスト16)で日大三に屈した。シードで迎えた今春は、コロナ禍の初戦の難しさの中で2回戦・郁文館に4対5で敗れた。立ち上がりにエース星野がリズムを作れず、ゲームの流れをつかめないまま相手のペースになった。終盤に反撃をみせたが1点及ばずに初戦敗退となってしまった。試合後、安藤徳明監督は「冬にしっかりとやってきたつもりだったが、まだ甘かったということ。もう一度、引き締めていく」と語った。選手たちは、この悔しさを糧に全身全霊で西東京大会へ向かう。
■ノーシードから頂点へ
チームは、市橋優大主将(3年=内野手)を軸に、エースで4番の星野、大砲・片山悠真ら西東京屈指のプレーヤーが揃うが、全員が主役。だれかに頼る戦いではなく、一人ひとりがチームを背負う自覚を持って、グラウンドに立つ。エース星野は「春は自分のピッチングで迷惑をかけてしまった。夏はしっかりとゲームを作って、チームを勝たせるピッチングをみせたい」と雪辱を期す。エースは星野だが、そのほかの投手も力を伸ばし、ブルペンでの競争は熾烈。夏は、勝てるピッチャーがマウンドに立つことだろう。投手陣がゲームを作れれば、あとは打撃陣が得点を奪うだけ。市橋主将は「練習試合で勝てても公式戦は違う。相手もいるが、まずは自分たちがどう戦うか。1プレー、1球を大切にして、どんな状況になっても一丸となって戦っていく」と気持ちを込める。八王子はノーシードから頂点を目指す。