3年生の皆さん、お疲れ様でした!
39年ぶりの甲子園へ心技体強化
合気道の教えで集中力向上
1984年に選抜初出場で初優勝という実績を誇る岩倉。チームは39年ぶりの甲子園を目指して心身強化に励んでいる。
■どんな相手にも真っ向勝負
今年の岩倉は、頂点を狙うだけの力を秘めている。昨秋は2回戦で八王子と対戦して、堀田秀哉(3年=二塁手・投手)のサヨナラホームランで3対2の劇的な逆転勝利を果たしてベスト16へ進出した。3回戦では国士舘に6対8で敗れたものの、戦えるチームであることを大会で示した。秋ベスト16のチームだが、大きな“戦力補強”があった。1年生時に岩倉に転校してきて、1年間は規定によって公式戦出場できなかった大野巧成(3年=投手)が春から戦列に加わった。投打の軸となる大野は、新チームの主将に指名された。エースで4番の大野が加わったことでチーム戦力は大きくアップ。どんな相手にも真っ向勝負できる力が備わっている。
■「臍下の一点 心身統一」
岩倉は今季、新たな試みにトライしている。野球部関係者のつながりで、合気道の講習を定期的に導入。世田谷の成心館道場の指導者が選手たちに心技体の教えを説く。岩倉グラウンドには毎年チームスローガンが掲げられているが、今年は「勝利文化の構築」というメインテーマのほか、サブタイトルとして合気道の教えである「臍下(せいか)の一点 心身統一」の文字が添えられている。へその下の「臍下」は、力が入らない場所といい、そこに意識を集中することで緊張が解けて本来の力が発揮できるという。王貞治氏らプロ野球レジェンドが取り入れていたことでも知られる。選手たちは勝負所で「臍下」に意識を集中して打席へ向かう。
■春大会でも力強いゲーム演出
合気道の教えの原点は「選手の力を最大限に発揮する」ということ。練習で地力を養い、その力を発揮するチームは春大会でも力強いゲームを演じてみせた。2回戦で明法に7対1で勝利すると、3回戦で実力校・早大学院と対戦。エース大野の好投によってロースコアの展開に持ち込むと1対2で終盤へ。岩倉は勝ち切るチャンスがあったが好機を活かせずに惜敗となった。大野主将は「春は悔しい結果になったが、戦える手応えもつかんだ。夏は特別な大会。一戦一戦に集中して、チーム全員の力で勝ち上がっていく」と力を込める。「心身統一」。岩倉は自分たちの力を信じて、夏へ挑む。
岩倉・豊田浩之監督
選手の力が発揮されるように
「今年は、自分たちで盛り上げていけるチームで、普段以上のものを発揮する不思議な力を持っています。トレーニングの一環として合気道の教えを取り入れて、選手の力を最大限に発揮するための考え方を学びました。選手の意志を尊重して一戦一戦、目の前の試合を戦っていきたいと思います」
監督プロフィール
1973年東京都生まれ。岩倉−亜細亜大。大学卒業後、北陸大谷(現小松大谷)で4年間コーチを務めたのち、母校岩倉コーチを経て監督に就任、2010年から部長、2014年秋から再び監督へ。現役時代は捕手。