【厚木北】 「常識破壊」 #厚木北

今秋季県大会でベスト16進出
新たな時代の高校野球を目指す

 厚木北の野球が面白い。今秋季県大会でベスト16に進出したチームは、独自のスタイルで神奈川の頂点を目指していく。

■今秋は創学館と真っ向勝負  

秋季神奈川県大会4回戦・厚木北対横浜創学館。試合会場の保土ケ谷球場の電光掲示版には1〜9番の打順の下にポジションナンバーが表示されるが、そこには9〜1の数字がきれいに並んだ。ライト、センター、レフトから順番に並ぶ打順。野球関係者たちから“どよめき”が上がったが、そのどよめきは試合内容へのモノへ移り変わっていった。城山、神奈川工に勝利しベスト16進出を果たした厚木北は、私学実力校・横浜創学館に対して、一歩も引かない戦いを演じていった。初回に山田蓮主将(2年=外野手)が出塁し、すぐさま盗塁。そのランナーをクリーンアップが返して1点を先制する。5回に同点にされたが試合は1対1のまま終盤へ。最終回に力尽きて1対2のサヨナラ負けとなったが、県トップレベルの打撃を誇る相手に対して大善戦となった。

■スローガンは「AKY」  

練習前、厚木北の校庭には、軽トラを巧みに操りグラウンド整備を行う森山純一監督の姿があった。校内の人気者という指揮官には、女子生徒から「もりやま先生〜」という黄色い声が飛ぶ。にこやかに手を振る指揮官だが、練習がスタートすると空気は一変。ダイヤモンドには張り詰めた空気が流れ、選手たちが積極的にボールを追っていく。森山監督は、前任地の平塚湘風時代に、イニングごとに投手交代をするなど独自の戦法で強豪と張り合ってきた。2021年4月に厚木北へ着任すると、加賀谷実元監督のあとを引き継ぐ形で同年秋から指揮を任された。2022年春には、星槎国際湘南、橘学苑の指導歴がある福冨洋祐部長、前城山監督の新井良明顧問が着任。県屈指の指導体制になっている。「AKY」(A=厚木北野球部が、K=神奈川/甲子園で、Y=優勝する)をスローガンにチーム強化に励む。

■常識に捉われない野球  

ポジション序列の打順、イニングごとの投手交代など奇抜な戦術が目立つが、それは普段の練習で周到に準備されたもの。そこに厚木北の強さの秘密がある。秋季大会後の4番打者には、チームで一番小柄な二瓶岳(2年=内野手)が座るなど、常識やセオリーに捉われない柔軟な発想でチーム作りに取り組む。しかしながら、その一方で、攻守の基本練習はしつこいくらいに確認作業を繰り返し、戦うためのベースを築き上げている。中学時代の実績がない選手たちが多いが、野球の面白さを知ることでさらに成長していく。山田主将は「森山先生からは『選手はロボットではない。自分たちで考えていこう』と教えてもらっています。常識に捉われない自分たちの野球で、勝ち上がって行きたいと思います」と練習に向き合う。基本を培った上で、新たな世界へ。常識破壊・厚木北の挑戦は、未知なるステージへのチャレンジだ。

 

 

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