【前橋商 】優勝「上州制覇」(2023年夏)

13年ぶり6度目の夏甲子園
伝統県立高がミラクル劇で頂点へ

伝統校・前橋商が2010年夏以来13年ぶりに群馬の頂点に立った。ミラクル劇で私学強豪を次々と撃破、全員野球で6度目の甲子園出場を成し遂げた。

■隠れたダークホース・前商

群馬大会では2010年に前橋商、2012年に高崎商が優勝したが、それ以降の10年間(2020年はコロナ禍で中止)は前橋育英、健大高崎、樹徳の私立勢が覇権を分け合う結果となっていた。今夏は、秋県大会優勝で選抜出場、さらに春関東大会を制した健大高崎が大本命だったが、波乱の大会を前橋商が制してみせた。今年のチームは、真藤允宗主将を軸に、リードオフマン金子蒼生、強打の2番・齋藤隼がチャンスを演出していく。昨秋は3回戦で市立太田、今春は準々決勝で前橋育英に敗れたが、夏に向けて坂部羽汰、須田湧貴、2年生で身長190センチの豪腕・清水大暉の投手陣が急激に力を伸ばしたことで投打のバランスが整った。今夏の前橋商は、“隠れたダークホース”だった。

■伝統復活、そして伝説へ

前橋商は、準々決勝で前橋育英に逆転勝利して準決勝へ。準決勝では、昨夏の優勝校・樹徳と対戦。打線がコンスタントに得点を重ねると、エース坂部から清水への継投で樹徳打線を抑えて10対2で快勝し、決勝へ駒を進めた。  決勝の相手は、準決勝で健大高崎を下した桐生第一。前橋商は3回に金子の犠飛で1点を先制したが、5、7回に失点して1対2で9回裏を迎えた。二死2塁から高橋一輝の同点タイムリーで、土壇場で同点に追いつき一気呵成となると、二死満塁から齋藤がライト前へサヨナラヒットを放ち、激戦に終止符を打った。住吉信篤監督は「信じられないくらいの力を生徒たちが発揮してくれた。私学優勢の中で、普通の高校生でも甲子園へ行けることを示してくれた」と涙を浮かべた。伝統校復活。前橋商の躍進は、群馬の高校野球史の新たな伝説となる。

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