【浜松大平台】 「熱くなれ」

選手たちに寄り添い手厚くサポート
一つの勝利に向かってチーム始動

今年度から直井勇人監督を迎え新体制となった浜松大平台。秋季は初戦敗戦も、成長を信じて練習を重ねている。(取材・栗山司)

■週休2日の効果とは

「1つ1つ確実に捕っていこう」。「今はできなくても意識だけは持っておこう」。直井勇人監督は15人の選手に対し、そう声をかけながら、丁寧にノックを打っていく。「チームの目標が1勝から2勝になり、2勝から3勝になり、最終的に甲子園を現実のものにしたい」。  2006年に農業経営と浜松城南が再編整備され、新たに開校した浜松大平台。今春から指揮をとる直井監督はそう熱く語る。  就任後、様々なアプローチで選手のモチベーションのアップをはかっている。まずは「週休2日制」を取り入れた。適切に休養をとることで成果が出ると考え、月曜と木曜の練習は休み。平日は火曜、水曜、金曜のみ活動する。「練習をやりすぎたら、モチベーションが上がらないし、学校生活にも影響が出る。もう少し余裕を持たせることが大切だと思った」   休みが増えることで必然的に選手の主体性が生まれる。例えば、平野友賀主将(2年=外野手)は木曜日を使って自重トレーニングを行っているという。「疲労回復力が去年に比べてあるなと感じています。休みの日は個人個人でやっています」

■充実したスタッフがサポート

また、名門・静岡商でプレーした田村祐貴コーチ、社会人野球まで経験した渭原悠汰コーチに加え、トレーニングコーチや理学療法士も招き、選手を手厚くサポートする。「自分が甲子園に連れていくなんて、とても自分にそんな力があるとは思わない。むしろ、力のある人を呼んで、選手の上手くなる環境を提供することが大事だと思っている」と直井監督。その背景には自らの貴重な体験がある。2017年に県のチャンピオンアスリート育成事業の一環で日本体育大に派遣され、1年間に渡って硬式野球部のコーチとして古城隆利監督からマネジメントの重要性を学んだ。さらに、静岡の部長として甲子園を2度経験したことも生きている。  取材日はラプソードを使って投球や打球を計測。初めて見る自身の数値に選手たちは目を輝かせていた。これも「根拠に基づく練習を提供したい」という直井監督の試みの一つだ。

■甲子園を現実にする

夏は「1勝」の目標を掲げて大会に臨んだ。相手は昨秋の東海大会に出場した常葉大橘。試合前に徹底的に分析した効果があり、4回まで2対1でリード。最終的に2対6で敗れたものの、やるべき方向性は貫いた。  秋も初戦で浜名に敗戦。それでも直井監督は「今の技量でこのスコアになったけど、このチームは絶対に強くなる」と選手を鼓舞。「来年の春は必ず1勝を挙げる」と意欲的に練習に取り組んでいる。  「熱くなれ、己を解き放て、一瞬に全てをかけろ」。そのキャッチフレーズを心に秘め、浜松大平台ナインは甲子園に向けてスタートラインに立った。

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