新チームは無念の敗戦スタート
来春まではひたすらレベルアップを目指す

 今夏ベスト4に進出した加藤学園。新チームも勢いに乗りたいところだったが、秋季は予選敗退。来春までの長い時間が始まった。(取材・栗山司)

■歴史を作った前チーム

近年、コンスタントに結果を残している加藤学園。前チームは新たな歴史を作った。春の県大会連覇に加え、夏は21年ぶりのベスト4進出でチーム最高成績に並んだ。
 現主将の渡邊駿大(2年=捕手)は「先輩たちは勝ちにこだわる姿勢がすごく、執念があった」と畏敬の念を抱く。バント、走塁、キャッチボール。日頃からこの3点を徹底し、何度も接戦をものにして勝ち上がった。 
 そんな前チームから選手が大きく入れ替わった新チームは苦しい船出となった。

■初戦敗退からの巻き返しへ

秋季県予選の大会前は関西などに遠征。米山学監督の「何事も他人事にならず、みんなで取り組もう」という思いから全選手が帯同し、チームとしての共通認識を深めていった。 
 そして、初戦の相手が星陵に決まると、米山監督は「この試合が秋の一番の山場になる」と踏んだ。能力の高い選手が揃う相手で、夏前の練習試合では負けていた。
 試合は先発の島田航佑(2年)が6回まで無失点の好投を見せる。7回に走者を2人背負ったところで、山田晃太郎(2年)にスイッチ。犠飛による1点にしのいだ。しかし、打線が相手の好投手を攻略できず、0対1で敗退した。「完全に自分たちの力不足だった」と渡邊主将。わずか1試合で秋が終わり、早くも選抜大会出場が絶望的となった。「あの負けは戻ってこないです。もう絶対にこういう思いはしたくないと思いました」。米山監督も「夏に向かってやっていくしかないんだ」と沈む選手たちを鼓舞した。

■いいチームで甲子園へ

来年の春まで公式戦がない。米山監督は「冬が2回あると思ってやっていく」と方針を示す。通常のオフシーズンに加え、9月から11月も、試合に向けての調整ではなく、目的を持ってレベルアップする時期ととらえる。まずは、当たり前のことを全力で取り組むことからスタート。スローガンに掲げる「全ての事は心から始まる」をあらためて胸に刻み、不退転の決意で臨む。渡邊主将の決意は固い。「目標はいいチームで甲子園に出場すること。野球はもちろん、生活面でも全員で声を掛け、高め合っています」。
 投手陣は県トップクラスだ。米山監督も「ウチのここ何年かでピッチャーの能力は上の方にあると思う」と話す。中心となるのは最速141キロのストレートを投げ込む本格派右腕の山田。「当然、彼には求めるところは高くなる。それくらいのポテンシャルがある選手」(米山監督)。一方で打線は得点力アップのために技術をコツコツと磨いていく。
 長い冬を乗り越えた先に栄光が待っていると信じて―。

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