秋都大会優勝で来春の選抜出場当確
「原点回帰」でつかみ取った優勝旗
二松学舎大附が、秋季都大会決勝で早稲田実に勝利して21年ぶりに優勝を果たした。チーム一丸で秋の頂点に立ったチームは、来春の選抜出場を確実にした。
■常勝の重圧を乗り越えて
「原点回帰」でつかみ取った優勝旗だった。二松学舎大附は2021年夏から2023年春まで、4季連続で甲子園出場を成し遂げていた。しかし2023年夏以降、甲子園から遠ざかっている。「重圧もあったと思うし、勝つのが当たり前になってしまったのかもしれない」(市原勝人監督)。今夏は主砲・片井海斗らを擁して優勝候補だったが、準決勝で関東一に惜敗した。新チームにとってアドバンテージとなったのは、及川翔伍、河内紬の両右腕が夏を経験していたこと。打撃では1番・入山唯斗をスイッチ役に2番・日笠雅凰、3番・宮本修佑へつなぐ。大砲は不在だが各打者が献身的に役割を果たすことでトーナメントを駆け上がった。1回戦から簡単な相手はいなかった。1回戦で日体大荏原、2回戦で八王子、3回戦で世田谷学園に勝利してベスト8へ駒を進めた。
■大舞台で日大三、帝京、早実を撃破
二松学舎大附の強さが試されたのは、準々決勝以降の3試合だ。準々決勝では日大三相手に6回まで2対1でゲームを進めると、7回に一挙6点を奪ってコールドで寄り切った。準決勝では帝京と対戦し、河内から及川への継投リレーによって7対0の8回コールドで完勝した。選抜当確、明治神宮大会出場権をかけた決勝では早稲田実と対戦した。序盤は細かいミスも重なり一時は1対4とリードを許す展開となった。しかし、4回から及川がマウンドに上がって流れを変える。粘り強く食らいついていくと、5回から1点ずつ奪う反撃をみせて8回には同点に追いついた。一進一退の攻防は延長タイブレークへ突入。二松学舎大附は早稲田実のタイブレークを3イニングしのいで流れを引き寄せると、最後は根本千太郎がスクイズを決めてサヨナラ勝利。21年ぶりに栄冠をつかんだ。4回から登板し9回2失点の及川は「チームとして粘り強く戦えたことが勝利につながった」と笑顔をみせた。泥臭く、粘り強く。全員で成し遂げた優勝だった。