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新たなアプローチで「新・都立の星」へ
夏ベスト8を達成するために意識変化
東大和南は、個性あふれる選手たちが夏舞台で躍動するチームだ。昨夏大会後には、前雪谷部長の西悠介監督が就任し、松岡優介部長と二人三脚でチーム強化に取り組む。士気高まるチームは「新・都立の星」を目指していく。
■早稲田実出身の指揮官が就任
新体制になって約4カ月、チームには変化の胎動が聞こえていた。西監督は、早稲田実出身。2学年下には、斎藤佑樹氏(元日本ハム)がいた。高校3年生のときのチームは春準優勝の第1シードで夏大会を迎えたが、4回戦で工学院大附に延長で敗れて高校野球を終えている。早実・和泉実監督の指導から多くを学んだことから、高校野球指導の道へ進むことを決めた。早大卒業後に永山、小岩で指揮を執り、前任地・雪谷では伊達昌司監督の右腕として部長を務めた。2024年春に東大和南に異動となり、夏大会後に監督となった。指揮官は「雪谷では部長として一歩下がった位置から高校野球を見たことで視野が広がった。前任の3校での経験を東大和南の選手たちに伝えていきたい」と寄り添う。
■シード校に勝つためのアプローチ
チームとして甲子園を目指すには、甲子園を知らなければいけない。夏休みの関西遠征では、甲子園に足を延ばして小松大谷対明豊の試合を観戦した。新チームが掲げた目標はベスト8以上。8強進出は、単なる目標ではなく、現実目標。それをクリアするにはシードクラスを倒さなければいけない。西監督は、シードに勝つという意識を植え付けて、そのためのアプローチを選手と共に考えていった。グラウンド横の掲示板には、選手全員が個人目標を記入したマンダラチャートに加えて、個人成績などを掲示してデータを可視化。個人面談も実施してチーム全体を把握していった。「トップダウンではなく、選手たちに多くの資料を提示して考えてもらうことが大切。選手たちが本気で勝ちたいと思えば行動は変わってくる」(西監督)。
■目標数字設定で行動が具体化
新チームはこの冬にフィジカル強化に取り組み、虎視眈々と春・夏の躍進を狙っている。ベスト8を目標に設定するチームは、安田水紀主将(2年=外野手)を軸に強度が増している。投手陣は、江崎将吾(2年)、髙羽陸仁(2年)のダブルエースが感覚をつかみ、どんな相手でもゲームを作れるようになった。秋には早稲田実と練習試合を行い、好ゲームを演じたことも自信になった。打線は、4番の中村和寿哉(2年=捕手)を中心に、つながりが生まれてきた。184センチ97キロの主砲・莊司元喜(1年=内野手・投手)は、1年生ながらも絶対的主砲として欠かせない存在。西監督の指導のもとで今後はプロ注目選手に育つ可能性を秘める。チームの成長を実感する安田主将は「数字で目標を設定することで具体的に行動できるようになった。目の前の目標をクリアしていって夏ベスト8以上を達成したい」と意気込む。チーム改革を進める東大和南が「新・都立の星」と呼ばれる日が来るかもしれない。