【宇都宮清陵 野球部】「虎視眈々」

その壁を越えろ ! 私学撃破へ意識改革

宇都宮清陵は今秋、南雲英利前監督から原卓寛監督にバトンが引き継がれた。

新チームは2学年合わせて16人の少数精鋭だが、随所でポテンシャルの高さが垣間見える。

■ 2006年秋の県大会準優勝

2006年秋の県大会で準優勝し関東大会進出した実績を持つ県立校だ。

栃木県高校野球の聖地・清原球場から約1キロの距離に位置するチームは、力を蓄えながら虎視眈々と上位進出をうかがっている。

チームは今夏まで経験豊富な南雲英利前監督(元真岡監督)が指揮を執っていたが、夏大会後に原卓寛監督(元矢板監督)となった。

いまは原監督、南雲部長の「二人三脚」で、選手指導にあたっている。

若き新指揮官を、真岡を2012年秋4強に導いた南雲部長が支える体制になっている。

原監督は「南雲先生が作ってくれたベースを継承して、結果につなげていきたい」と、選手に寄り添う。

■ 2019年度は強豪相手に善戦

過去5年間の最高位は2016年夏の3回戦だが、南雲前監督就任後の2018年以降は試合内容が変わってきている。

今夏で引退した3年生たちは、冬を越えて、大きく成長した。

今春は県大会2回戦で作新学院と対戦し0対6の結果だったが、一方的な展開ではなかった。

そして今夏は初戦で実力校・小山北桜を7対0で撃破すると、2回戦では文星芸大附と激突。

最終的に準優勝となった相手に、終盤まで食らいつき5対7の好ゲームを演じてみせた。

そして迎えた今秋の新チームは、交流戦では宇都宮南相手に敗れたものの、本大会までの約3週間で急激に進化。

1回戦で佐野を下して2回戦・宇都宮工戦へ駒を進めると、公立強豪相手に善戦。

1対3で敗れたがチームの潜在能力の高さを示した。

■ 確立されたセンターライン

2020年夏へ向かうチームは、センターラインが確立されている。

エース阿久津聡(2年=投手)、女房役の加藤宏輝主将(2年=捕手)のバッテリーが、安定したゲーム運びをみせれば、守備では気鋭のショートストッパー刑部大地副将(2年)が広い守備範囲をみせる。

打撃面では加藤主将、刑部副将、阿久津に加えて、小池拓実副将(2年=外野手)も鋭い打球を飛ばす。

主力選手のパフォーマンスは県内強豪チーム主力に見劣りしないばかりか、潜在能力はそれ以上かもしれない。

絶対エースの阿久津は「自分たちの戦いができれば格上相手でも戦えると思う」と手応えをつかむ。

■ パワーアップで強豪撃破へ

チームは来年春・夏の飛躍に向けて、全体の底上げを図っている。

この冬は、体幹と食トレによってパワーアップを試みる。

最近の大会で強豪に善戦しながらも敗れた悔しさを、来年につなげる覚悟だ。

加藤主将は「この冬は強豪を倒す力をつけて、春・夏はこれまで以上の結果を残したい」とチームを牽引している。

原監督は「素質があるので現状に満足するのではなく、より高い場所を目指してほしい」と、精神面での意識改革も促す。

強豪相手に善戦で満足する時間は終わった。

求められるのは強豪撃破。

チームには、それを成し遂げるだけの力が眠っている。


栃木県立宇都宮清陵高等学校

【学校紹介】
住 所:栃木県宇都宮市竹下町908-3
創 立:1985年
甲子園:26回(春14回・夏12回)
昭和60年開校の県立高校。

清原工業団地内にあり、清原球場は自転車で約5分。

野球部は2006年秋に県準優勝で関東大会進出した実績を誇る。

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