【真 岡 野球部】「一球入魂」

1900年創立の伝統校、代替大会へ団結。

甲子園は消えたが仲間との絆は変わらない

1900年創立の伝統校・真岡。小山隆司監督就任2年目、チームは夏の飛躍を虎視眈々と狙っていたが、その夢は途絶えた。

選手たちは、代替大会へ向けて、真剣に野球を楽しんでいる。

2020年7月号掲載

■ 勝利だけが目的じゃない

5月20日、真岡の選手たちは夏の甲子園が中止となったことを自宅で知った。

横張幹人主将をはじめ選手たちは、それぞれに連絡を取り合い、気持ちをなだめた。

翌21日の学校登校日に、小山隆司監督は選手たちをグラウンドに集めて、全体ミーティングを行った。

指揮官は「野球は勝つことだけが目的じゃない。大会はなくなったが、みんながこのグラウンドで培ってきたものは消えない。代替試合へ向けて、最後まであきらめずに頑張ろう」と再出発を誓った。

■ 異色の経歴の指揮官

小山監督は、異色の経歴だ。

筑波大学院卒業後に、プロ野球・楽天イーグルスのコンディショニングコーチとして8年間在籍。

田中将大(元楽天、現NYヤンキース)らを指導し2013年には優勝を経験した。

その後はアメリカ留学し本場の野球を学ぶと、帰国したのちに教員となり、小山北桜を経て2018年に真岡に着任、2019年から監督を務める。

小山監督は「自分のプロ野球界などでの経験を生徒たちに伝えたい。

ただ、知識だけでは強くなれません。

大切なのは、本気になれるかどうかだと思っています」と語る。

■ 成長していた選手たち


2019年夏は初戦で小山を下して2回戦へ進出。

国学院栃木に1対8で敗れたが、上位の力を把握することができた。

新チームで迎えた昨秋大会は初戦で真岡北陵に惜敗。

悔しさを抱えながら冬のトレーニングに励み、球春到来となるはずが、コロナ禍に見舞われた。

選手たちは自主トレを重ねながら“夏”を待ったが、甲子園へ続く道はなくなってしまった。

しかしチームは、横張主将を軸にまとまっていた。

安良岡壮輔(3年=内野手)、井上泰斗(3年=内野手)の打球は力強さを増し、多彩な変化を操るエース國井悠人(3年)も力を伸ばした。

選手たちは、気持ちを切り替えて代替大会へ希望をつなぐ。

■ これからの後輩に託す夢


チームには今年15人の新1年生が加入、真岡の伝統を引き継ぐべくグラウンドに立つ。

2年生もたくましさが増している。

横張主将は「僕らは代替試合へ全力を尽くす。だれも経験したことのない状況になって、1日、そして一球の練習の大切さが分かった。1・2年生たちは、悔いの残らないように練習をして、来年の夏に僕らの分まで戦ってほしい」と夢を託す。

3年生たちは、代替試合へ向けて始動した。

現時点(6月10日)では代替試合の詳細は決まっていないが、選手たちは伝統という名のプライドを背負って白球を追う。

真岡高等学校

【学校紹介】
住 所:栃木県真岡市白布ケ丘24-1
創 立:1900年
甲子園:なし
明治33年創立の伝統進学男子校。2020年に創立120年目を迎えた。サッカー部は県内強豪。2016年にはOB大塚実氏の寄付でグラウンドを人工芝に全面改修した。

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