【白山 野球部】「不動心」#白山

2020年秋ベスト8進出
21世紀枠県推薦校選出

 県立強豪白山が2020年秋季県大会でベスト8に進出した。尾形裕昭監督就任2年目。多くの経験と敗戦を経て強くなったチームは、進化の証を結果で示す。

 

■監督交代から約1年  

白山にとって、2020年3月からここまでは激動の1年だったと言える。

昨年3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校となった状況下、チームの土台を作ってきた村田浩明前監督がチームを離れることになった(同年4月から横浜監督に就任)。村田前監督のもとで部長を務めてきた尾形裕昭監督が後任となった。無名校だった白山を公立強豪へ育てた前監督の存在が大きかったゆえ、動揺は確かにあった。しかし、尾形監督、選手たちは現実に立ち向かった。昨夏の独自大会は、初戦で勝てれば2回戦で村田監督率いる横浜と対戦できるはずだった。野球の神様が用意したかのようなシチュエーション。だが、チームは1回戦で戸塚に敗れ、静かに大会を去った。尾形監督の心境を察すれば、心が痛む。

 

■秋季大会ベスト8は成長の証  

指揮官は当然、責任を痛感した。しかし、気落ちする間もなく新チームは始動。そして、再び試練がやってきた。秋季大会予選決勝で、戸塚と再戦することになったのだ。2度続けて負けるわけにはいかない。新チームの選手たちは、先輩たちの思いを背負ってゲームに向かい、6対5で勝利を収めた。

県大会出場を決めた白山は、進撃をみせていく。1回戦で厚木東、2回戦で相模原中等に勝利。3回戦では藤沢翔陵を5対3で下してベスト8入り。準々決勝では桐蔭学園相手に激闘を演じたが10対11のサヨナラ負けで力尽きた。敗れたものの桐蔭学園を土俵際まで追い詰めた戦いなどが評価され、21世紀枠県推薦校に選出された。

尾形監督は「長い年月をかけて積み上げてきたものも、一瞬で崩れる可能性がある。チームを引き継いだ以上、私自身の力不足がある中で責任を持って取り組んできた。もがきながら1日1日を乗り越えてきた」と控えめに語った。

 

■チームスローガンは「不動心」  

秋季大会予選で戸塚を倒し、県大会でベスト8まで勝ち上がったことで、前体制からの呪縛は解かれた。自分たちの力で新たな一歩を踏み出したチームは、士気高く、球春を迎えている。一つの壁を乗り越えたチームは中村鯨佑主将(新3年=内野手)を軸に一つになり、パワーあふれるリードオフマン鈴木将太(新3年=外野手)、クラッチヒッター丸優太(新3年=外野手)らがプレーでチームを牽引している。

冬は、新2年生も力を伸ばし、競争は激化。チームに新たな刺激が加わっている。尾形監督が掲げたチームスローガンは「不動心 一燈照隅」。不動心は、どんな状況でも動じずにやるべきことを遂行することを示し、一燈照隅は、一隅を照らすこと。つまり、選手それぞれが精一杯努力し輝きを放ち、その集合体が大きな光となり、世の中を照らしていくチームを意味する。尾形監督は「どんなときも選手たちと向き合って、一戦一戦に集中するだけ。村田前監督のあとを引き継ぎながら、白山に新しい色を加えていきたい」とノックバットを握る。

激動の1年によって、チームはさらに逞(たくま)しくなる。

 

 

 

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