2025年秋【チームレポート】希望ケ丘 1951年の神奈川大会を制して甲子園出場を果たした伝統進学校。今季のスローガンはスローガンは「完全燃焼
希望ケ丘高校

希望ケ丘
「完全燃焼」

1951年夏に甲子園初出場の伝統進学校
今秋は予選3勝・1位通過で県大会進出

 1951年の神奈川大会を制して甲子園出場を果たした伝統進学校・希望ケ丘。新チームでの今秋は、予選3連勝で県大会出場を決めるなど活気付く。今シーズンの公立ダークホースになる可能性を秘めている。

■「選手が主役」の主体的活動でチームに活気


 輝かしい栄光が伝統を彩る。練習場バックネット裏の監督室には、1951年夏を制した時の優勝旗が掲示されている。1897年(明治30年)に神奈川県尋常中として開校。その後に神奈川県立第一中となり、1950年(昭和25年)に「希望ケ丘」に改称された。

改称前には「神高(じんこう)」と呼ばれたことから、甲子園出場時のユニホームの胸には「J」の大きな文字が刺繍されていた。今でも練習試合着には「神高(じんこう)」の文字が刻まれる。

神奈川高校野球を牽引した伝統の力を宿すチームは近年、自由な校風に則った主体的な活動や、恵まれた練習環境などによって、高いポテンシャルを秘めた部員が増加。チームには活気があふれている。


■今春は14年ぶりにベスト32へ進出


 チームを指揮するのは、34歳の若き指揮官・平井雅俊だ。津久井で監督、川崎北で部長を務めて経験を積んだあとの2023年4月に希望ケ丘に着任し、伝統のタスキを引き継いでいる。

生徒に伝えているのは「常に置かれた状況でベストを尽くす」という言葉だ。凡打やエラーの場合でも全力で走り、声を出すことはできる。逆境に屈しない底力を植え付ける意味もある。指揮官は野球人の先輩として、グラウンドだけではなく学校生活でも、今の環境で最善を尽くすことの大切さを伝えている。

平井監督は「選手たちの自走をサポートしていきたい」と寄り添う。指導者のヒントを得て“自走”する選手たちは、2025年春県大会2回戦で、実力校・金沢に勝利する番狂わせを起こして、2011年春以来の3回戦(ベスト32)進出の結果を残した。


■夏の徳島合宿でチームに変化


 2025年夏へ向かうチームは県下屈指の左腕エース篠晴仁(2年)、捕手羽山丈(2年)が前チームからバッテリーを組みセンターラインが確立されている。1年生スラッガー畠山昊大も4番として存在感を示す。

チームはこの夏に初めて徳島合宿を実施。2024年夏甲子園出場・鳴門渦潮、2023年春の21世紀枠選抜出場・城東と練習試合を行った。7月中旬の始動直後は歯車がかみ合わなかったというが、徳島合宿が転機となりチームとして成長した。

そして秋の地区予選では金井、柏陽、連合チーム相手に3連勝。予選1位通過で県大会出場を決めた。

今季のスローガンは「完全燃焼」。「夏は自分たちの力を発揮できず3年生の“夏”が1試合で終わってしまった。3年生の悔しさを知っている自分たちは1日1日の練習を大切にして、完全燃焼していかなければいけない」(柴田惇寛主将)。希望ケ丘は一瞬にベストを尽くし、進化を遂げていく。

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