2017年夏準優勝を観て入学した「黄金世代」
投打のバランス整い、いざ逆襲へ
2017年夏に甲子園へあと一歩に迫る準優勝となった東海大高輪台。今年の世代は、あの夏の準優勝をみて入学してきた選手たち。“あと1勝”の壁を越えていく。
■野心を胸に秘めた選手たち
東海大高輪台は2017年夏の東東京大会で進撃をみせて決勝へ進出した。決勝戦では二松学舎大附に敗れて初甲子園出場を果たすことはできなかったが、チームに大きな勇気を与えた。今季の選手たちは、あの夏に中学2年生だった世代。2017年のエース宮路悠良(東海大—ミキハウス)の弟・空夢(2年=投手)ら、大きな可能性を秘める選手たちが集まった。身長185センチ86キロの大型右腕・宮路はここまでケガに苦しんできたが最終学年を前に急成長を遂げている。宮路は「兄の背中をずっと追ってきたが、今年の夏は兄を超えたい」と夏に照準を合わせる。野心を胸に秘めた選手たちは、黙々と冬のトレーニングに臨んでいる。
■秋敗戦の屈辱を胸に冬へ
昨秋は悔しい結果となった。一次予選決勝で工学院大附に延長12回の激闘の末に3対4でサヨナラ負け。工学院大附は初戦で日大二を撃破しただけに簡単な相手ではないことはわかっていたが、コロナ禍での実戦不足なども影響して予選敗退という結果だった。宮嶌孝一監督は「負けたことは事実だが、コロナ禍で練習試合もほとんどできない中でのぶっつけ本番だった。選手たちは責められない」と話す。秋予選敗退後、チームは再構築を図ると10月下旬から11月末の練習試合では強豪相手に一歩も引かない戦いをみせるなど急激な進化をみせた。選手たちは、秋敗戦の屈辱を胸に冬の強化練習に向き合っている。
■2017年を彷彿とさせるチーム
投打の戦力は整いつつある。チームは、攻守の要・宮田伝蔵主将(2年=内野手)を軸に一つになっている。投手陣は、秋のエースナンバーを背負った粕谷祐天(2年)、最速140キロの剛腕・宮路を軸に競争が激化する。秋時点での課題だった打線は、迫力が増した。2年生の山岸温生(内野手)、投打の二刀流・宮路らがパワーあふれるスイングをみせれば、リードオフマン・大城琉空(1年=外野手)、主砲・鯨井稜眞(1年=内野手)の1年生コンビも力を伸ばす。
宮嶌監督は「突き抜けた選手はいないが、一丸となって努力できるチーム。全体の雰囲気は2017年のチームに似ている」と目を細める。宮田主将は「一球、一打席、一戦を大事にして、夏に甲子園へ行きたい」と気持ちを高める。先輩たちが果たせなかった甲子園出場を果たすために、あの壁を越える。立ちはだかる壁は、未来への扉となる。