紅葉川「攻撃野球」自慢の打線を武器に、いざ夏へ
投打の軸が揃う東東京ダークホース
今春都大会で3回戦(ベスト32)に進出した紅葉川。昨夏も4回戦(ベスト32)へ進出するなど地力を蓄えるチームは、自慢の打線を武器に東東京大会へ挑む。
■城東出身の松坂世代指揮官
高校野球の激戦区である下町・江戸川で着々と地力をつける都立ダークホースだ。2018年度から野球部がスポーツ特別強化校に指定されて、下町の野球小僧たちが門を叩く。2019年夏にはシード校として大会を迎えて5回戦へ進出。昨夏は最速142キロのエース山崎正義(2022年春に独立リーグ徳島入団)を軸に4回戦へ進出する好結果を残した。チームは2019年夏まで田河清司監督(2015年育成功労賞)が率いたが勇退によって、2019年秋から髙橋勇士監督がバトンを受けた。松坂世代の指揮官は城東出身。熱い思いを込めて選手たちに都立野球を伝授している。髙橋監督は「選手たちの成長が一番の喜びです」と選手に寄り添う。
■松本と佐藤のダブルエース
昨夏はエース山崎が絶対的存在だった。今年のチーム始動時は、投手難が課題だった。髙橋監督は「1試合9イニングを9人で投げることも考えるくらいだった」と話すが、タイプの違うピッチャーが台頭してきた。春の背番号1は松本空(3年)だが、春都大会後には背番号9の佐藤陽斗もエース級へ成長している。松本は、変化球を巧みに操る技巧派。ストレートは球速以上の速さを感じる。佐藤はストレート、変化球を四隅に集めて安定感抜群のピッチングをみせる。東東京大会は、松本と佐藤のダブルエース体制でゲームに臨む可能性が高い。夏は天候などによって過密日程での試合も想定されるため、二人の存在はチームの好材料だ。
■「攻撃野球」と「一心不乱」
今年のチームのスローガンは「攻撃野球」と「一心不乱」。過去2年間は、投手を中心にした守備野球を志してきたが、私学実力校相手に食らいつきながらも打てないゲームが続いてきた。今季は、投手陣に課題があったことから「攻撃野球」にシフトチェンジ。校庭で黙々と打撃練習を繰り返してきた。島津青波主将(3年=捕手)、田内康之助(3年=内野手)、平優樹(3年=外野手)らが鋭い打球を飛ばすようになり、打線の厚みが増した、打力が上がることで、投手陣も奮起。夏直前となった今は、投打のバランスが整い始めた。攻守の要・島津主将(3年=捕手)は「1〜9番までどこからでも得点が奪えるのが今年のチームの特長。打撃陣でピッチャーをサポートして全員で勝ち上がっていきたい」と夏の大暴れを誓う。紅葉川は、「一心不乱」に勝利だけを見つめる。