過去3度甲子園出場の伝統校
2022年東東京大会で準優勝
日体大荏原は2022年春の都大会でベスト8、同夏の東東京大会で準優勝を果たした。過去に3度の甲子園出場を誇る伝統校は、東東京の“序列”を動かしていく。
■スカイブルーのユニホーム
2022シーズンはスカイブルーのユニホームが輝きを放った。石崎祥真主将(3年)、エース小金井凌生(3年)を軸としたチームは2022年春の都大会4回戦で修徳を撃破してベスト8へ進出する。そして、シードで迎えた東東京大会でも進撃をみせて準々決勝で小山台、準決勝で城東に勝利して決勝戦へ進出。甲子園まであと1勝に迫った決勝・二松学舎大附戦でも粘り強い戦いを見せて食らいついていったが1対5で惜敗。1976年以来の夏甲子園出場は叶わなかったものの、伝統校復活の狼煙(のろし)を上げた。エース小金井をサポートする形でマウンドに立った石井祥太(2年)は「甲子園が夢ではないことを先輩たちが教えてくれた」と話す。新チームは夢の続きを追って始動した。
■能動的なプレーの質を高める
チームを率いるのは、日体大出身の本橋慶彦監督だ。神奈川・桐蔭学園時代の高校2年時に甲子園を経験。大学時代は主将を務めて、卒業後も大学でコーチを務めた。そして日体大荏原教員となり、野球部指導にあたる。野球部のほかゴルフ、アメフト部などの顧問を兼任して2021年春に“再登板”。東東京は二松学舎大附と関東一の“2強時代”になっている状況で、選手個人の力で勝負しては分が悪い。指揮官が目指したのは、身の丈に合った野球。守備をベースに自分たちが出来ることを徹底的に追求し、出来ることのレベルを高めていった。本橋監督は「野球は受動的なプレーと能動的なプレーから成る。振る、投げる、走るなど自分たちでコントロールできるプレーの質を高めていった」と語る。そして43年ぶりの決勝進出を果たした。
■取れる得点、取れるアウトを確実に
2023年の主将は、昨夏の悔しさを知る攻守の要・千葉輝夏(2年=内野手)。決勝敗戦後、しばらく立ち直れなかったという千葉は、石崎前主将らから「甲子園出場はお前たちに任せた」と声を掛けられて気持ちを奮い立たせたという。新チームはスタメンが総入れ替えとなり、1年生レギュラーも多かったが、自分たちが出来ることを追求。チームは前チームからレギュラーだった千葉主将、中澤郷(2年=外野手)、そして新エース石井、1年生右腕・田健汰らを軸に再起動。秋都大会ではベスト8の戦績を残してみせた。2022年の3大会で敗れた相手は関東一、二松学舎大附、帝京の東東京強豪。この壁を崩すことで甲子園への道が拓ける。千葉主将は「自分たちはホームランを量産するチームではない。取れる得点、取れるアウトを確実に奪って、全員野球で接戦を勝ち切っていきたい」と夏の頂点を目指す。この冬、日体大荏原の練習場には、活気ある声と選手の闘志がみなぎっていた。選手たちは、夢の続きを追いかけていく。