2018、2019年夏には2年連続東東京大会準優勝
創立100年のメモリアルイヤーに甲子園へ
小山台は、2014年の選抜甲子園に21世紀枠で出場、2018、2019年夏には2年連続で東東京大会準優勝となった。選手たちは、「生活」を大事にしながら初の夏甲子園を目指す。
■初の夏甲子園は“射程距離”
文武両道を貫く小山台は、2014年の選抜甲子園に都立で初めて出場した。選抜では1回戦で履正社と対戦し敗戦となったものの新たな歴史の一歩を踏み出した。選抜出場を果たし聖地への道を切り拓いた進学校には、多くの生徒たちが本気で野球を追求するために、門を叩くようになった。近年の部員数は3学年で100人を超す。そして2018、2019年夏には2年連続で、東東京大会で快進撃をみせて準優勝。甲子園まで“1勝”に迫った。初の夏甲子園は“射程距離”に入ったように見えた。チームは2021、2022年夏にベスト8へ進出。甲子園まで最も近い“距離”にいる都立と言える。
■選手を鍛える「ペンの野球」
チームを率いるのは福嶋正信監督だ。足立工、葛飾野、江戸川を指揮したのちの2005年に小山台監督に就任。小山台には定時制があるため、練習時間は、放課後の午後3時半すぎから午後5時(完全下校)まで。生徒たちは限られた時間、限られた練習環境で、分刻みの行動を実践していく。掲げている言葉は「生活の中に野球あり」。日々の学校生活を大事にして、すべてを野球につなげていくことでグラウンド外でも自身を成長させていく。小山台では「野球日誌」を取り入れて、選手たちが日々の思いをノートに書き込んでいく。練習後、ペンを持ちながら自分自身と向き合うことで、短い練習時間を補っていく。バットをペンに持ち替える時間が、選手たちの心を成長させていく。「ペンの野球」。小山台が結果を残す理由は、福嶋監督が築き上げた“仕組み”にある。
■チャレンジャー精神で挑む夏
今年のチームは、まだ結果をつかみ取れていない。昨秋は1次予選で東海大高輪台に敗れて予選敗退。再起を誓った今春は予選を突破したものの都大会1回戦で駒場学園に3対8で敗れて都大会勝利はならなかった。チームは、キャプテンシーあふれる強打の捕手・常盤幸司主将(3年)を軸に結束している。投手陣は、武藤健真(3年)と熊谷朋紀(3年)の両右腕が威力を上げ、打線では常盤主将、村山駿介(3年=内野手)、池田澄季(3年=内野手)らがチャンスをつないでいく。夏を前に走攻守の土台は固まりつつあり、選手たちは夏に照準を合わせて練習に励む。常盤主将は「過去の先輩たちは好結果を残してきたが、自分たちは力がまだありません。チャレンジャー精神を持ってゼロから全力で挑んでいきたい」と夏へ向かう。
1923年創立の小山台は、今年100周年の記念年を迎えている。メモリアルイヤーに、初の夏甲子園へ。100人以上の部員の力を結集して東東京の頂点へ駆け上がっていく。