今夏、公立唯一のベスト4進出。創部100年へ、確かな手応え
2019年夏に快進撃をみせて8年ぶりにベスト4へ進出した宇都宮商。準決勝では王者・作新学院に惜敗したが、公立唯一の4強として意地をみせた。
■ 夏大会で大きなインパクト
夏は一戦ごとに力をつけていった。2回戦で栃木商、3回戦で今市工を下すと、準々決勝では石橋と対戦した。
石橋は3回戦で国学院栃木を破り勢いに乗っていたが、宇都宮商はエース高根澤元(3年)を軸に堂々たる戦いをみせた。
初回に3点を奪って主導権を握ると、3回には4点をスコアに刻むなど、打線の連動で着実に加点していく。
5回表に3点を返されたもののその裏に4点を奪い返すと12対3の7回コールドで公立強豪を押し切り、ベスト4へ進出した。
準決勝の相手は、王者・作新学院。だが、宇都宮商はまったく怯まなかった。
0対2でリードされた5回に3点を奪い逆転すると、3対3で迎えた6回には阿部真希(3年=内野手)の本塁打で再逆転に成功した。
結果は4対7の惜敗となったが、高根澤と黒澤誠泰(3年)のダブルエースを軸に作新を追いつめた戦いは大きなインパクトを残した。
格上相手に一歩も引かない戦いをみせた選手たちには、確固たる自信がみなぎっていた。山口晃弘監督は「1年間やってきたことが形になった。選手たちに感謝したい」と、夏を振り返った。
■ 新チームは横一線のスタート
新チームは、ゼロからのスタートだ。
1・2年生で夏のレギュラーはいない。
その上、2年生は6人のみで、1年生の力を頼らざるを得ない状況。
1年生は17人いるため、今季はチームにとっての正念場となる。
Bチームを指導してきた篠原誠部長は、早い段階から1・2年生にチームの主力として戦う自覚を促してきた。
3年生と比較すれば個人の能力はまだ劣るが、各ポジションは個性が光るプレーヤーが揃う。
篠原部長は、守備のベースを作った上で、夏大会後に山口監督にチームを引き渡した。
山口監督は「新チームは将棋で言えば“歩”の集まり。だが、ポテンシャルは高い。
全体の底上げによってチームは変わっていくはずだ」と期待を寄せる。
新チームは渡邉慶佑(2年=内野手)を主将に新たなスタートを切っている。
3年生が大きな戦果を残したためプレッシャーがかかるが、チームを継承する覚悟はできている。
チームは、右サイドスローのエース高橋友徳(2年)が柱となり投手陣をまとめれば、打線では俊足巧打の川口明日希(2年=外野手)が主軸を担う。
エース高橋は「3年生が、作新相手に互角の戦いをみせてくれて甲子園が現実であることを教えてくれた。
僕らも自分たちの力を信じて戦っていきたい」。
そのほか、入江広大(2年=内野手)、1年生の加藤悠太(内野手)、飯村晃貴(外野手)、小山太一(外野手)らが力を伸ばし、屋台骨は固まりつつある。
渡邉主将は「1・2年生23人全員で、しぶとく食らいついていく宇商の野球をみせて、先輩たち以上の結果を残したい。それが新しい伝統になる」と前を向く。
宇都宮商野球部は、来年度に創部100周年のメモリアルイヤーを迎える。選手たちは、伝統の重みを感じながら、チームの歴史に彩りを加えていく。
栃木県立宇都宮商業高等学校
【学校紹介】
住 所:栃木県宇都宮市大曽3-1-46
創 立:1902年
甲子園:4回(春3回・夏1回)
明治35年に開校した商業高校。
商都・宇都宮を支える多くの人材を輩出。
野球部は、甲子園4回出場。
2012年に秋準優勝、関東ベスト4進出で2013年春の選抜出場。