複数キャプテン制でチーム機能。
秋ベスト16で春シード獲得
2017年夏の西東京大会でベスト8へ進出した日本学園。
今秋都大会でベスト16へ進出したチームの主力は、2017年夏の戦いをみて入学してきた今の2年生たちだ。
■ 2017年夏西東京ベスト8
日本学園は、2017年夏の西東京大会で勝ち進むと準々決勝で早稲田実と対戦した。
清宮幸太郎(現日本ハム)、野村大樹(現ソフトバンク)の強打者を擁した早実に対して、日本学園は真っ向勝負。
序盤に4失点して1対5で敗れたものの大舞台で粘りの戦いをみせた。
神宮で行われたその試合には、入学を考えていた中学3年生たちが観戦に訪れていた。
酒田淳平(2年=内野手)は「あの試合で日本学園を知った。
強豪相手に粘り強い野球をするチームをみて、ここでプレーしたいと思った」と振り返る。
2018年春には、30人を超える選手たちが日本学園の門を叩いた。
この代は、いつの頃からからか「最強世代」と呼ばれるようになり、選手たちにも自覚が芽生えた。
■ 秋2回戦で東亜学園撃破
新チームは「秋都大会優勝」という高い目標を掲げてスタートを切った。
身長190センチの長身右腕・五十嵐蓮(2年)、強打の主砲・伊藤飛遊吾(2年=外野手)を軸にするチームは、五十嵐の好投もあり、一次予選を順調に突破。
都大会へ準備を進めたが、本戦直前に五十嵐が肺炎で離脱。
エース不在のチームは窮地となったが、チャンスが巡ってきた2番手・森田賢太朗(2年)が大きな仕事をやってのける。
2回戦・東亜学園戦、先発森田が渾身の投球をみせると、2対3で迎えた9回に2点を奪い、執念の逆転勝利。
格上相手に金星を挙げた。
雨の影響で連戦となったため3回戦の創価戦で力尽きたが、「最強世代」の片鱗はみせた。
■ 本音のミーティングで一体感
今年の新チームから、複数キャプテン制を取り入れている。
これまでは主将はひとりだったが、高橋裕輔監督の提案によって、複数でチームをまとめることになった。
指揮官は「キャプテンの負担が大きくなって、うまく進まないときがあった。
複数であれば、みんなで支え合いながら戦っていける。
人数は、選手たちに任せた」と話す。
選手たちはミーティングで、五十嵐蓮、伊藤飛遊吾、酒田淳平、加藤滉大(2年=内野手)の4人をキャプテンにすることを決めた。
4人の主将は、部員たちの意見を吸い上げた上で、キャプテンミーティングを行い、チームを作っていった。
始動直後は、意見がぶつかることもあったがというが、本音で話すことで、チームは一つになった。
■ チャレンジャー精神
OB指揮官の高橋監督は、2016年秋からチームを率いて4年目を迎えている。
政官財に多くの人材を輩出してきた伝統校は、1981年夏に西東京大会で準優勝となるなど甲子園に近づいた実績を持つ。
あの夏から39年、最強世代と呼ばれる選手たちは、先輩たちの歴史を継承し甲子園切符をつかむべく鍛錬を積む。
伊藤主将が「秋はチームとして一つになれたことで成長できた」と話せば、五十嵐主将は「秋は優勝を目指したが、強豪との力の差を感じた。
冬にしっかりとトレーニングを積んで春・夏はさらに上へ行けるチームにしたい」と来夏を見据える。
来春はシードとして大会へ向かうが、加藤主将は「秋と同じくチャレンジャーの気持ちでぶつかっていく」と引き締める。
4人のキャプテンが率いる「最強世代」は、最強たる所以を、春・夏の結果で示す覚悟だ。
日本学園高等学校
【学校紹介】
住 所:東京都世田谷区松原2-7-34
創 立:1885年
甲子園:なし
1885年に東京英語学校として神田錦町に創立。
1936年から現校名となり、世田谷区松原に拠点を置く男子校。
主な卒業生には、横山大観(画家)、甘利俊一(東大名誉教授)、斎藤工(俳優)。