昨夏の全国高校野球選手権で準優勝
越後主将、二刀流坂本、もう一度あの場所へ

 昨夏の全国高校野球選手権で準優勝となった関東一。夏の舞台を経験した選手たちが残る今年のチームは、甲子園に“忘れたもの”を取り返しにいく。

■昨夏の甲子園で球史に残る激闘

関東一のユニホームをみると、昨夏の甲子園での光景が鮮明に甦ってくる。東東京大会を制して5年ぶりの甲子園出場を果たしたチームは、甲子園で一戦一戦進化を遂げていった。坂井遼、畠中鉄心のダブルエースと主砲・髙橋徹平主将を軸にしたチームは、3回戦で明徳義塾に3対2で競り勝つと、準々決勝・東海大相模戦では白熱の投手戦の展開で、主砲・髙橋が先制ソロアーチを叩き込み2対1で勝ち切った。準決勝・神村学園戦では2対1で迎えた9回2死1、2塁で放たれた中前安打を、センター飛田優悟が奇跡のバックホームで刺してゲームを終わらせた。決勝・京都国際戦は互いに譲らず0対0で延長戦へ突入。延長タイブレークで1対2と敗れて準優勝で夏を終えた。

■夏の借りは甲子園で返すだけ

3年生にとっては完全燃焼と言える戦いだったが、甲子園を経験した越後駿祐主将(新3年=内野手)と攻守のキーマン坂本慎太郎(新3年=投手・外野手)には「もう1年」が残っている。決勝戦10回裏二死満塁で三振を喫して最後のバッターとなった坂本は、あの打席が忘れられないという。初球のストライクを見逃してしまい、最後は相手左腕投手が投げた外角のスライダーにバットが空を切った。「あの場面で自分がヒットを打てていれば優勝できたと思う」と振り返る。坂本は試合終了後のスタンド挨拶で泣き崩れ、髙橋主将に抱えられて甲子園をあとにしている。あの借りを返すのは、夏の甲子園しかない。

■春のレギュラー争いは横一線

昨秋の新チームは越後主将と坂本を軸に起動した。秋都大会は2回戦で国士舘に勝利したが、3回戦で帝京と対戦して2対3で敗れて選抜甲子園への道が断たれた。越後主将は「自分たちの代は1からのスタートだった中で、帝京戦では気持ちの面で負けてしまっていた。夏の準優勝は先輩たちの結果。自分たちの弱さを受け止めて、春・夏に巻き返していく」と雪辱を誓う。
 投手陣は、左腕・坂本と最速140キロ右腕・石田暖瀬(3年=投手)のダブルエース体制。野手陣のレギュラー争いは横一線でだれがポジションをつかむか分からないが、越後主将、坂本、石田のほか、小林響葵(3年=内野手)らがパンチ力ある打撃をみせてリードオフマン候補に名乗りを上げる。米澤貴光監督は「今年の選手にはプレッシャーがあるかもしれないが、立ち向かっていかなければいけない。試合に向かう前に自分自身に勝っていく必要がある。夏に向けて日々成長していくだけ」と選手に寄り添う。選手たちは今夏、再び東東京を制し、去年の甲子園で持ち帰れなかった優勝旗を奪い取りにいく。

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